オムロン、ソーラーエッジと協業
単相PCSの独占販売権取得
小型PCS(パワーコンディショナ)大手のオムロン(京都市下京区、山田義仁社長)は2月27日、イスラエルのPCS大手であるソーラーエッジテクノロジーズと日本市場における協業で合意したと発表した。オムロンは、ソーラーエッジ製オプティマイザ付き単相PCSの日本における独占販売権を取得し、品揃えを拡充した。今夏より低圧太陽光発電所向けに提供していく。
オムロンは、2018年3月より販売代理店の1社として高圧太陽光発電所向けのソーラーエッジ製オプティマイザ付き三相PCSの取扱いを開始していたが、このほど低圧太陽光発電所向けの単相PCSに関する協業で新たに合意した。三相PCSと同様に、オムロンが製品とサービスの販売、ソーラーエッジが製品開発や製造、技術支援を担う。
今回の合意では、オムロンがソーラーエッジ製のオプティマイザ付き単相PCSの独占販売権を取得。ただし、ソーラーエッジが現在国内販売している単相5.5kW機とは別機種であり、同機種に日本仕様を施し、JET(電気安全環境研究所)認証を取得する。オムロンは認証取得に関しても支援しており、今年6月頃に取得できる見込みだ。
ソーラーエッジ製PCSの特徴は、オプティマイザを併設することで、太陽光パネル単位で出力を制御するMLPE(モジュール・レベル・パワー・エレクトロニクス)技術を搭載していること。パネル単位で出力を最適化し、発電損失を抑えるほか、設置する方位や傾斜角、定格出力、枚数などの異なるパネル接続も可能とするため、システム設計の自由度が高まる。パネル単位での遠隔監視機能や緊急遮断機能も有している。
オムロンはこれまで低圧太陽光発電所向けに自社製単相PCSを販売し、国内トップクラスの供給実績を誇る。ソーラーエッジ製単相PCSを新たな商品群に加えることで、従来品では設置困難だった案件や設置後のO&M(管理・保守)を重視する太陽光発電所などへの提案を強める狙い。
ソーラーエッジも、13年に日本市場に参入し、16年からオプティマイザ付きPCSの販売を本格化しているが、ここまでMLPE技術の認知度は高いとは言えない。オムロンの販売網を活用することで日本市場攻略の足掛かりにしたいようだ。
オムロンはソーラーエッジ製単相PCSの販売にあたり、オプションとして独自の保守点検メニューも用意する方針。グループでO&Mを手掛けるオムロンフィールドエンジニアリングと連携し、年2回の定期点検を行うメニューを提供していく予定だ。
両社は同日、記者発表会を行い、オムロンの執行役員環境事業本部長の立石泰輔氏とソーラーエッジのグローバルセールスVPのツヴィ・ランド氏が出席した。オムロンの立石氏は、「FITからの脱却を目指すなかで、これまでにない課題やニーズが発生するだろう。両社の強みを上手く組み合わせることで、FIT市場とポストFIT市場の両方で幅広く高い価値を提供できるはずだ」と話した。