伊坂電気、23年3月期15%増の23億円に
屋根上EPCが牽引
太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)を手掛ける伊坂電気(大阪市、西尾潤一社長)は、2023年3月期の売上高が前期比約15%増の23億円だった。屋根上設置など〝非FIT〟案件のEPCが好調で、2期ぶりの黒字化を果たした。
同社はFITを活用した高圧太陽光発電所のEPC事業と開発・販売事業を主軸としてきたが、23年3月期は屋根上設置の太陽光発電設備のEPC事業を伸ばした。なかでも提携先であるオンサイトPPA(電力売買契約)業者大手からの施工依頼が増加し、売上高の半分が非FIT案件だったという。1MW級の屋根上設置案件のほか、自己託送用の地上設置型太陽光発電所の完工実績も上げた。
もっとも、同社はFIT開始前から産業用太陽光発電のEPCを手掛けてきた人材を多く抱え、受電設備の改造や設計を自社対応できるなど、屋根上設置に関する知見や技術がある。屋根上設置のEPC業務は得意分野だっただけに、PPA市場の拡大とともに業績を伸ばせたようだ。
西尾潤一社長は、「屋根上設置案件の引き合いが急増し、昔に戻ったようだ」としつつ、「10kW以上に対象が拡大した使用前自己確認制度への対応などを含めた工事力が強みだ」と語る。
今期は既存発電所のリパワリング(改修による出力増)工事の依頼も多いようだが、非FIT比率がさらに拡大すると見込む。西尾社長は、「提携先を増やしつつ、V2X(車からの電力供給)設備や太陽光カーポートの設置など、提案の幅を拡げていく」と意気込む。