北洲、再使用蓄電池の試作機完成
東北の住宅メーカー、北洲（宮城県富谷市、村上ひろみ社長）は2023年4月、宮城県の補助金を活用して電動車の使用済み蓄電池を用いた住宅用蓄電池を開発した。改良を加えながら製造業者を探し、26年度中の商品化を目指す。
同社は、本田技研工業のハイブリッド自動車で使用された蓄電池を再使用して、蓄電容量1.3kWh、直流出力5kWの住宅用蓄電池を23年3月初旬に完成させた。同社の吉原秀人取締役購買部長は、「電圧を最適化して高出力化を実現できた」と語る。
同社は直流給電の研究者、東北大学の田路和幸名誉教授が考案したシステムをもとに、東北工業大学の下位法弘教授の技術指導を受けて開発した。使用済み蓄電池を使うことで原価低減を図るほか、直流給電による電力利用の効率化を目指す。太陽光電力を直流のまま蓄電池にため、電気自動車へ直流給電する使い方を想定している。
同社は22年度、環境負荷の低減に資する設備開発を補助する宮城県の補助事業に採択され、補助限度額250万円を活用して今回の試作機製作に着手した。
今後は商用化に向け、性能を高めつつ、25年度までに委託製造先を探して26年度から量産化する計画だ。吉原取締役購買部長は、「電動車が普及して蓄電池が大量に廃棄されるという課題がある一方、太陽光電力の有効利用に向けて安価な蓄電池が必要だ。再使用蓄電池開発には課題解決の側面もあるだけに、早期の事業化を目指す」と意気込む。
同社が開発した再使用蓄電池の前面（左）と背面。住宅メーカー視点でデザインした