Inside News

日本板硝子、導電膜つきガラスを極薄化

製造ライン上で成膜

導電性や赤外線反射性を持つが、一般的なガラス板と見た目には差異がない

ガラス資材を製造する日本板硝子(東京都港区、森重樹社長)は3月8日、厚さ0.7㎜の透明導電膜つきガラス板を発表した。薄膜太陽光パネルの用途を見込む。今夏を目途に発売し、3年内に5~10億円の売上げを目指す。

同社は成膜に際し、CVD(化学気相蒸着)という技術を使用。ガス化した錫化合物や酸化剤などを、製造ライン上の600℃のガラス面に吹付け、高温下で起こる化学反応を用いて酸化錫膜を形成する。

この技術は、ガラス製造中に成膜できるため効率的で、毎分10mほど処理できるという。半面、ガラス面の温度低下で平坦性が損なわれやすいことが欠点だ。特に0.7㎜厚という極めて薄いガラスへの蒸着では、慎重な引き延ばし工程を要する。

同社によると、CVD技術をガラス板製造ライン中で施す例に限れば、0.7㎜は世界最薄だという。

建築ガラス事業部門アジア事業部の廣田徹ソーラービジネス部長は、「元々建材や薄膜太陽電池の基盤としてより厚めの導電膜付きガラスを出荷してきたが、最近は半透明パネルなどに向けた薄く軽量な部材の要請が増えた。そのために昨春より薄膜化に取り組み始め、この1月に達成した」と話す。

なお、既に色素増感太陽電池の基盤用としての引合いもあるようだ。グループファンクション部門研究開発部薄膜技術領域の藤沢章領域長によれば、「色素増感太陽電池は製造過程で500℃の加熱を受けるが、CVDで形成した膜は耐熱性が強い。また、色素増刊太陽電池は室内の用途が多いというので、薄く軽い当製品が有用」と、今後の需要への期待をのぞかせた。

その他にも調光ガラス向けなどの問合せがあり、現在は引合いへの対応を準備している段階だという。

導電膜つきガラスの製造ラインの模式図

Inside News を読む

一覧を見る