住友電工、住宅用蓄電設備に新機能追加
単機能型利用も可能に
住友電気工業はこのほど、ハイブリッド型の住宅用蓄電設備に新機能を追加した。単機能型の蓄電設備としても使えるようにするなど、幅広いニーズに応えた。
住宅用蓄電設備はハイブリッド型が主流だが、最近は電力高騰で太陽光電力を自家消費する意識が強く、単機能型のニーズも一定数増えているようだ。というのも、太陽光発電設備を単体で設置して間もない利用者がハイブリッド型を導入すると、太陽光発電用PCS(パワーコンディショナ)を取り除くこととなり、設備の保証が切れてしまう。そこで同社は、2022年4月に発売した蓄電容量12.8kWh、最大出力6kWのハイブリッド型に、太陽光PCSと連携できる機能を追加して、ハイブリッド型を単機能型としても使えるようにした。
一方で、太陽光発電の自家消費率を高めるため、あえて太陽光発電設備とハイブリッド型蓄電設備をセットで使いたいといった需要も出ている。ただ、出力4kW以上の太陽光PCSが設置されてある住宅に、住友電工のハイブリッド型を併設すると、合計出力が10kWを超え、FITの売電単価が変わってしまう。そこで同社は、蓄電設備の出力を変えられる機能を追加して、ハイブリッド型として併設しやすくした。
同社エネルギーシステム事業開発部パワーエレクトロニクス技術部技術企画グループの上田光保グループ長は、「販売会社が提案しやすいように複数の機能を追加して、細かい要望に応えた」と話す。
同社は今回、停電時に蓄電設備から太陽光発電用PCSへ系統電力に似た電力を送る〝疑似系統〟機能も追加。太陽光発電用PCSが自立運転モードに切り替わらずに停電時も通常通り太陽光電力を活用できるようにした。
また、翌日の天気予報や電力料金プランなどを考慮して自動で蓄電設備を制御するAI(人工知能)機能を載せ、蓄電設備の経済性を高めている。
同社は新機能追加による値上げはせず、出荷済みの製品に対しても、利用者がシステム更新すれば新機能を使えるようにした。