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東電PG、日立とデータセンターの電力需要制御技術を確立

東京電力パワーグリッド(東京都千代田区、金子禎則社長)は2023年7月5日、データセンターの計算処理に伴う電力需要を複数の拠点で制御し、電力需要を調整する技術を日立製作所と確立したと発表した。再生可能エネルギーを有効に活用する手法で、実用化に繋げる狙いだ。

同社らは実証試験を22年10月から23年3月にかけて実施した。両社が所有する茨城県内のデータセンターと都内のサーバールームを接続し、電力需給シミュレーションデータに基づいて調整が可能かどうかを検証した。

具体的には、太陽光発電による電力が足りない地域のデータセンターの計算処理を、太陽光発電の電力が過剰な地域のデータセンターへ移して、データセンター間で電力需要をシフトした。さらに、単一のデータセンターでは、日中の太陽光発電による電力が余る時間帯に夜間の計算処理を移行させながら、データセンター内の空調設備や照明器具を制御して電力需要を調整した。

実証試験では東電PGが電力を管理し、日立が分散制御技術を提供した。いずれの検証にも成功し、両社は23年6月29日に特許を出願している。

東電PG事業開発室の鍋谷雄一部長は、「30年にはデータセンターの電力需要が国内の総電力消費の10%にあたる860億kWhとなる見通しで、これらも脱炭素化を進めるべきだが、太陽光発電や風力発電は変動性を持つ再エネ電源である。需要を調整する必要があった」と語る。

日立社会システム事業部エネルギーソリューション本部デジタルソリューション部の森分哲担当部長は、「データ処理を分散化させ、再エネ電力の有効活用を目指していく」と述べた。

両社は今後、実データを用いた実証試験を継続する方針である。再エネ業者との連携や蓄電設備やEVなどの活用も検討しているという。

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