事業計画策定ガイドライン改正へ 廃棄等費用の積立て強化
改正FIT法が施行されて間もなく1年が経過する。発電事業者は、事業計画策定ガイドラインに従い、適切に事業を行うことが義務付けられたのだが、そのガイドラインの改正手続きが進んでいる。
今回の事業計画策定ガイドラインの改正案における主な変更点は、下記の通り。なかでも撤去費用の積立てに関する記述が明記されたことは重要な変更点だろう。もともと遵守事項の一つに「発電設備を処分する際は、関係法令を遵守し適切に行うこと」とあるが、将来的な太陽光パネルの不法投棄や放置などの可能性を念頭に、FIT法の執行を強化する狙いだ。
この改正によって、事業者は毎年提出する年報において、廃棄等費用の積立て計画及び進捗状況を報告しなければならず、それらの情報はFIT法に基づく公表制度において公開される予定だ。積立てが計画通りに進んでいない事業者に対しては、必要に応じた報告徴収や指導・改善命令が行われる。
なお年報の提出は、FIT法の施行規則で義務付けられた認定基準である。発電事業者は、発電設備が運転開始した日から1ヵ月以内に設置費用を報告し、発電設備が運転開始した月またはその翌月に毎年1回運転費用を報告する義務が課せられている。もし怠った場合、指導・助言等の対象となる可能性がある。
また、今回の改正案では、努力義務を怠った場合にも指導・助言等の対象となる可能性を明記したほか、太陽光パネルの含有化学物質に関する情報入手の必要性についても追記された。
事業計画策定ガイドラインの改正案は3月17日にパブリックコメントの募集が締切られた。早ければ年度内にも施行される予定である。
事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)の改正案における主な変更点
●「なお、努力義務として記載されているものについても、それを怠っていると認められる場合には、FIT法第12条(指導・助言)等の対象となる可能性がある。」と、ガイドラインの努力義務を怠っている場合に、指導・助言等の対象となる可能性があることを明記
●「以下のような出力の変更を行った場合には、その変更の認定を受けた時点における調達価格が適用されることになる。」に「太陽電池の合計出力の3kW以上若しくは3%以上の増加又は20%以上の減少(運転開始前・後問わず)(ただし、電力会社の接続検討の結果に基づく運転開始前の変更を除く。)」と追記、2017年8月31日に公布・施行されたFIT法施行規則・告示改正に合わせ、売電価格が変更となる出力の変更を明記
●「10kW以上の太陽光発電設備であって、認定を取得した日から3年の運転開始期限内に運転を開始できない場合には、期限を超過した分だけ月単位で調達期間が短縮することに留意が必要である。また、10kW未満の太陽光発電設備は、1年の運転開始期限内に運転を開始できない場合には、認定が失効することに留意が必要である。」と、運転開始期限を超過した場合の対応を明記
●「事業終了時に撤去及び処分費用を確実に確保するためには、撤去及び処分費用の負担を分散させるために、計画的に積み立てることが求められる。そのため、その積立の開始と終期、その想定積立金額と毎月の積立金額を明らかにしたうえで事業計画を策定する必要がある。」と、撤去費用の積立に関する記述を追記
●電気事業法(電技省令)との関係が不明瞭であったため、柵塀等の設置に関する記述を修正
●「適正処理に必要な太陽電池モジュールの含有化学物質の情報については、製造業者または輸入業者のWEBや当該業者への照会等により、入手しておく必要がある(参考:一般社団法人太陽光発電協会使用済太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン(第1版))。」と、太陽電池モジュールの含有化学物質の情報の入手の必要性について追記
●太陽光発電に関するJIS規格に「JISC8955:2017」を追加
●和暦から西暦へ変更