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スペースクール、福岡市とPCS省エネ実証開始

冷却素材開発のスペースクール(東京都港区、宝珠山卓志社長)は2023年7月20日、冷却素材でPCS(パワーコンディショナ)の温度上昇を抑制する実証事業を始めた。PCSの省エネルギー化に繋げる狙いだ。

同社は『福岡市実証実験フルサポート事業』に採択され、福岡市内の交流出力1MWの『大原メガソーラー発電所』で検証する。2基あるPCSのうち1基のコンテナの天面や側面に自社製のマグネット式放射冷却素材を設置し、コンテナ内の空調設備の電力消費量を抑える。素材を設置しないコンテナの電力消費量と比べ、電力代の削減効果を検証する。

同社の放射冷却素材は、反射率と放射率が双方とも95%以上の性能を持つ光学フィルムである。外部の熱を遮熱し、放射する機能があるため、内部の温度上昇を抑える効果がある。熱で劣化しやすい屋外の電子機器に用いれば長寿命化が期待できる。

同社テクニカル本部ビジネス開発部門の筈井悠樹氏は、「当社の製品は、初期の劣化がないうえ、日射反射塗料と比べると、温度の抑制効果が20%程度高い」と特長を述べた。

今回の実証試験では、福岡市が場所を提供し、スペースクールは放射冷却素材の設置や電力消費量のデータを収集する。24年3月31日まで実証試験を継続し、素材の設置による電力消費量の削減効果を検証する。

同社の筈井氏は、「屋外の蓄電設備にも素材設置の効果はある。当社の製品はリパワリング(改修による発電増)効果があるため、EPC(設計・調達・建設)企業やO&M業者などに販売していく」と方針を語る。

同社は23年7月に着脱が容易なマグネット式の製品を発売。長さ1mあたり税込み1万6500円で販売している。

写真左側のコンテナの天面や側面にマグネット式放射冷却素材を設置し、電力消費量の削減効果を比較検証する

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