ケーブルの盗難対策に一役
古河電工、アルミケーブル販売強化
太陽光発電所の銅線ケーブルの盗難被害が多発するなか、古河電工グループの古河電工産業電線(東京都荒川区、小塚崇光社長)がアルミケーブルの販売を伸ばしている。盗難対策の手立てになるようだ。
古河電工産業電線は2018年に現行のアルミケーブルの製造を開始し、販売会社のSFCCを通じて拡販してきた。22年度のアルミケーブルの売上高は前年度比倍増の約8億円に達し、23年度はさらに2倍の伸びを見込む。工場や物流施設のほか、太陽光発電所で多く採用されており、太陽光発電所向けの売上比率は全体の3割を占めるという。
アルミケーブルは、銅線ケーブルよりも軽く、施工性が高いことに加え、アルミの資源量が豊富なため、市況が安定している。銅線ケーブルよりも導電性が低く、1サイズ大きくする必要はあるが、それでも銅の市況が高騰しているだけに、価格優位性があるようだ。
同社営業本部企画部アルミ拡販プロジェクトチームの佐藤仁チーム長は、「アルミケーブルの導入を検討する事業者が増えている。特別高圧太陽光発電所の開発を控える事業者だけでなく、銅線ケーブルの盗難に遭った既設発電所の事業者からの相談も多い」と話す。
つまり、アルミの市場価格は銅の約4分の1と安価なため、換金時の価値が低いアルミケーブルを使えば、盗難対策になり得るわけだ。北関東を中心に盗難被害が相次ぐなか、同社のアルミケーブルを導入する事業者が増え、23年度の既設発電所向けの受注量はすでに前年度実績を大きく上回っているという。
盗難対策には、防犯カメラや各種センサ、車止めの設置のほか、警備システムの導入や巡回の強化などの方法もあるが、あるO&M大手の幹部は、「発電所の立地によって方法は異なり、抜本的な対策が難しい場合もある」と明かす。
ならば、アルミケーブルの採用は有効な盗難対策になるのかもしれない。ただ、盗難被害後の保険適用時に原状回復を求められることが多く、アルミケーブルに置き換え難い事情もあるようだ。
一方、古河電工産業電線の堀内文彦専務取締役は、「ここ数年で部材・機器メーカーによるアルミケーブル対応品の開発が進み、導入しやすい環境が整備されてきた」と話す。
盗難被害後に関わらず、分散型パワーコンディショナのリパワリング(改修による発電増)や交換の際にケーブルを換えてみてもよいのかもしれない。検討の余地はありそうだ。