日清紡、熱・電ハイブリッドパネル 温泉施設で実証開始
投資回収9.8年を想定
日清紡メカトロニクス(東京都中央区、河村昌弘社長)は、11月24日、静岡県掛川市の大東温泉シートピアで太陽光から電気と熱を作り出すハイブリッドパネルの実証試験を開始した。太陽エネルギーを最大限に活用した新型パネルの実用化を目指す。
同社はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「太陽光発電多用途化実証プロジェクト」を受託。2014年から社内で実証を進めていた。温泉施設屋外に設けた設備の建設コストは2000万円、kWhあたり32円で全量売電し、灯油代削減費用などを加味し、投資回収は9.8年を想定している。
同システムは、両面ガラスの単結晶モジュールに特殊カーボンブラック添加エラストマー材料と呼ばれる高熱伝導ゴム材料で包み込んだ架橋ポリエチレン樹脂管40mを内蔵しており、輻射熱による集熱で水を温水に変える。発電効率は15.5%、集熱効率は62.5%で太陽エネルギーの変換効率は合わせて78.0%となる。
同施設には、160Wのパネルを合計140枚設置。33度の源泉を28枚分のパネル内部に流し、43度まで昇温して施設屋外の東屋内にある足湯に流す。残りの112枚分のパネル内の水はヒートポンプ給油機を経由して昇温させたのち、施設内の温水設備に流す。事業開発部の仲濱秀斉担当部長は、「金属管は水分中の酸素の影響で10年程度で劣化してしまうが、樹脂管を使用しているので劣化も少なくシステムが簡便。灯油代の削減効果も期待できる」と語る。
実証は29年2月までで行い、実証後の設備は掛川市に譲渡する予定だ。