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安藤ハザマ、AI活用のBEMS開発

需要予測でピークカット

総合建設会社の安藤ハザマ(東京都港区、野村俊明社長)は11月22日、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の普及を見据え、人工知能を活用したBEMS(ビル内エネルギー管理システム)を開発した。建物内のエネルギー需要予測を基に太陽光発電設備と蓄電池を制御し、ピークカット運転を実現する機器だ。最先端のエネルギーマネジメントシステムによって差別化を図る。

今回開発したシステム『アーセス(AHSES)』は、過去の電力使用量と気象情報から得た日射量を基に翌日の電力使用量を予測する。データを基に最適運転を促し、常時の運転状況を〝見える化〟する。技術本部技術研究所先端・環境研究部の岩本吉隆担当部長は、「過去3日間の過去データがあればある程度予測ができる」と語る。

同社は、13年4月からアーセスの開発に着手。今年3月に茨城県つくば市にある同社の技術研究所にシステムを設置した。電気使用量の15%削減を前提に太陽光発電システム35kW、蓄電池60kWhを導入。1日あたりの電力使用量は平均して深夜が約30kWh、昼間が150kWh程度で、ピークカット運転によって最大需要電力を1kW削減すれば、月に約1600円の電気代削減効果が得られるという。

太陽光発電システムは、ネクストエナジー製、蓄電池はソニー製、インバータなどの電力変換機器はアバール長崎製を採用した。開発にあたり、ミラーライフが全体のシステム制御、サイテック・ジャパンが需要予測、ファーストリリーが見える化ソフトの構築を行った。

同社は今後、別の建物内にコジェネレーションシステムと太陽光発電システムを導入する計画で、建物間の電力融通の検証を進める方針だ。岩本氏は、「アーセスは自由に拡張、縮小ができる。今後はさらに予測値の精度を高め、ZEB化に合わせて工場などへの提案ができれば」と話した。

(上)つくば市の技術研究所で実証を進めている(下)エネルギーマネジメントシステムによってリアルタイムでエネルギーの見える化を行う

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