エアサイクルハウジング、自然の空気を活用したZEHを開発
1月から提供開始
ハウスメーカーのエアサイクルハウジング(東京都中央区、市川小奈枝社長)は1月から、断熱性と通気性を高めたZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の提供を開始した。ZEH基準を満たしつつ、自然の熱や空気を循環させる独自の工法を組み込んだ。
同社の住宅は屋根上に換気口を設け、住宅の内部に空気を循環させるPAC(パッシブエアサイクル)工法が特徴だ。夏は換気口を開けて自然の風を取り込み、室温を下げる。冬は換気口を閉めて、太陽熱や生活熱を循環させて室温を上げる。通気性を重視した同工法は、同社の前身となる会社が1977年に考案し、これまで約5000棟の建設実績がある。
今回、ZEH市場に参入したのは、断熱性や気密性を重視する国の方針に対しての危機感が一因だという。市川社長は、「気密性が高すぎることで、結露が起きたりカビが発生したりする」と説明し、続けて「そうならないために高性能なエアコンがいくつも必要になるが、省エネの本質と言えるかは疑問で、住宅の寿命も損なう」と熱弁する。
そこで同社は、PAC工法を活かしつつ、補助金執行団体のSIIが規定するZEH基準をクリアした『クルクルZEH』を開発した。市川社長は、「通常のPAC工法よりも、空気を循環させるための部材数を減らすことなどが必要だったが、ZEH基準と両立する目途が立ったため提供を開始した」と話す。今後はモニター調査などを行いながら、実績を作り、販売を拡大していく構えだ。