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奥地建産ら、大型耐風圧試験装置を稼働

架台製造の奥地建産(奥地昭統社長)は4月26日、大阪府松原市内の本社工場に、JPEA(太陽光発電協会)と共同で大型耐風圧試験装置を導入したと発表した。架台の耐風圧性能や設計時の留意点についてデータを蓄積する。得られた知見をもとに、2月に公表した構造設計ガイドラインの改定を目指す。

奥地建産本社工場に導入した耐風圧試験装置

耐風圧試験装置は、試験体に風圧をかけて、その耐力を把握するための装置である。本来建築物の窓や扉用の装置だが、奥地建産らが導入した新装置は太陽光発電設備専用だ。基礎より上の部分を対象にする。

実際に現場に設置する状態に組み上げた架台と太陽光パネルを四方から壁で囲み、架台の背面に加圧ファンを取りつける。加圧ファンで空気圧を送り込むと、パネルの表と裏で圧力差が生じ、パネルを背面から持ち上げる力が作用する。反対にファンから空気を吸引すれば、パネルを正面から押し下げる力を再現できる。

四方を囲む壁のうち、パネルの手前と左側の壁は可動式になっており、最大で幅16m、奥行き6m、高さ4mまで拡大できる。試験体が64㎡、高さ4m以内であれば、試験可能だ。奥地建産耐風プロジェクトの髙森浩治ジェネラルマネージャーは「最大の特徴は装置の大きさ。耐風圧試験装置としては世界最大だ」と胸を張る。

試験体に載加可能な最大圧力は、パネルの表側と裏側、いずれの風向きでも1.5万Pa。これは、太陽電池アレイ面の高さの平均が3m、設置角度が20度、パネルの裏面から風が当たる場合で仮定すると、平均風速約80m/秒、最大瞬間風速120~160m/秒に相当するという。

パネルメーカーが想定する耐風圧性能が2400Pa程度であることに鑑みると、1.5万Paもの風圧を加えればパネルや架台は破壊されてしまうが、髙森マネージャーは、「壊れるまで加圧することが重要」とし、「どの箇所が、どの程度の圧力で崩壊に至るかの観察こそ、構造設計に役立つ」という。

奥地建産とJPEAは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募する『太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト』における「耐風安全性および水害時感電防止を考慮した合理的設計手法の開発」というテーマの研究を受託。試験装置の導入は、同研究の一環だ。

髙森マネージャーは、「公表した構造設計ガイドラインは、建築の設計指針などを参照して作成したため、太陽光発電設備に特有な問題を完全に考慮できていない」と振り返り、「実証試験で知見を得て、多様な架台の強度や問題点を把握すれば、ガイドラインに設計上の注意点を組み込める。18年度中にはガイドラインを改定したい」と意気込む。

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