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改正FIT法施行!

『みなし認定』対象者のポイント解説

4月1日、改正FIT法が施行された。なかでも注意すべきなのは、新たに事業計画認定制度へ移行すること。これから新規認定を取得しようとする者だけでなく、運転開始済みを含むFIT開始以降の全ての旧認定取得者も新制度への移行手続きが必要だからだ。そこで、太陽光発電に詳しいITJ法律事務所の池田尚弘弁護士にこれら『みなし認定』対象者の手続きについて聞いた。

──今回のFIT法改正のポイントは。

今回、電力の継続的な安定供給や地域との関係性構築を踏まえて改正FIT法が制定されました。これからは設備を認定するのではなくなり、発電事業者が電力会社との接続契約を交わしたうえで、継続的な事業計画を示さなければいけません。

 

──すでに接続契約を締結している旧認定取得者も、FIT以前に運転を開始した特例太陽光を除いて、全て新認定制度へ移行する。どのような手続きが必要か。

事業計画を策定することになるのですが、特に膨大な計画書をつくらなければいけないわけではありません。手続きは至って簡単です。移行手続きにつきましては、添付の必要のあるのは運転開始前の場合の『接続の同意を証する書類の写し』のみです。基本的には電子申請なので『ウェブサイト上で、必要事項を入力』などの方がよろしいかと思います。

最も重要な点は、遵守事項への同意が求められていることでしょう。その一つに『事業計画策定ガイドラインに従って適切に事業を行うこと』という項目があります。つまり事業計画の届出自体は簡単なのですが、今後はこのガイドラインに沿った運営がなされているかどうか、行政からチェックされていくことになります。遵守していない場合、行政指導が入ったり、認定が取り消されたりします。

例えば、新認定への移行後1年以内に、標識を掲示して情報を公開しなければならないほか、地上設置型であれば柵塀を設けなければなりません。また、周辺住民との理解を深めるための住民説明会の開催も努力義務としてあります。

 

──注意点は。

移行認定の手続き自体はそれほど難しくありません。3月31日までに接続契約を交わした事業者の場合、9月30日が提出期限となっています。まずはこの期限内に提出することが大切です。

特に低圧以下の事業者のなかには、各種手続きを施工業者などにお任せしていた方も多く、電力会社との接続契約締結日などの必要な情報を知らないケースもあるようです。

また、改正FIT法の施行に伴い、3月31日までに接続契約を締結できず、認定失効した案件があります。失効期限に気付かず、権利を失ってしまったという相談も受けています。今後、権利の売買や譲渡をする際には注意すべき点でしょう。

 

──移行手続きがわからない場合、事業者は誰に相談すればいいのか。

まずは施工した業者に問い合わせることが一番ではないでしょうか。ただ、それでもわからないケースもあると思い、我々はこのほど事業計画提出代行サービスを始めました。

当社グループには、太陽光発電の設置工事を手掛ける関連会社もあり、太陽光発電に関するノウハウがあります。事業計画の提出だけでなく、発電設備がガイドラインに沿ったものなのかも調べられます。関連法令を遵守しているかどうかの確認は、案件ごとに関与する法律が異なるため、施工業者には難しい部分もあるはずです。

今回の新制度は安定的に電力を供給し続けるという前提で認定を受けることになりますから、それに耐えうるような設備を設置し、運営しなくてはいけません。しっかりとした事業計画のもと、事業運営してきた事業者にとってはそれほど大きな変更にはならないでしょう。

プロフィール●池田 尚弘(いけだ・なおひろ)第一東京弁護士会所属。日本大学法科大学院修了、2009年にITJ法律事務所入所。

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