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中・フォノソーラー、太陽光パネル新製品発売

バスバー電極をなくし出力向上

(左)MWTモジュール(右)MWT技術を採用したセルの表面

中国の総合商社スメックグループ傘下のフォノソーラーは、このほど太陽光パネルの新製品を発売した。MWT(メタルラップスルー)技術を採用し、出力を向上させた。日本市場で拡販する狙いだ。

MWT技術とは、発電した電流が流れる表面のバスバー電極をなくして、レーザー穿孔によってセル表面に穴を開け、正負の電流を裏側に集めるバックコンタクト技術の一種。

フォノソーラーを日本で展開するスメックジャパンの橋本仁志ディレクターは、「セル面積の3%を占めるバスバー電極をなくしたことで受光面積が拡大し、穴を開けることで直列の抵抗値を低減し、効率を上げた。通常のセルに比べて銀ペーストの使用量が減るので、部材費も削減している」と説明する。

MWTパネルの変換効率は、多結晶で17.8%、単結晶で18.7%。出力は60セルの単結晶で290W、多結晶で305Wである。

MWT技術を採用した多結晶は現在、200MWの生産能力を有しており、既に販売を始めている。単結晶は今年8月を目途に発売する予定だ。年内には、MWT技術に加え、ブラックシリコンを用いた多結晶パネルを販売する。

同社のチョウ・ド社長は、「多結晶で300W超えを狙っている。PERC技術を採用したパネルに負けない価格になる」という。

中国国有企業のスメックグループは、クリーンエネルギー事業として太陽光発電や風力発電設備の販売、プロジェクト開発、蓄電池の販売などを展開しており、2008年にフォノソーラーブランドを設立した。日本では、14年8月に設立したスメックジャパンがフォノソーラー製品の販売を担う。

16年の日本向け出荷量は、前年比1.9倍増の120MWで、そのうち約60%が住宅用と低圧向けだった。17年は、200MWの出荷を目標に掲げる。

チョウ社長は「日本ではFIT売電ではなく、自家消費用の事業を展開していく。中国の国営企業の財務基盤を活かし、技術開発や品質の向上、低コスト化に力を入れ、日本でも着実に実績を上げていく」と語った。

スメックジャパンの橋本仁志ディレクター(左)とチョウ・ド社長

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