住友商事、再使用蓄電池で系統用蓄電事業開始へ
住友商事は2023年9月13日、EV(電気自動車)用の蓄電池で系統用蓄電事業を開始すると発表した。主に需給調整市場と容量市場で収益化を図る。24年4月に取引を開始する予定だ。
同社は、経済産業省の『令和3年度補正再生可能エネルギー導入加速化に向けた系統用蓄電池導入支援事業』に採択され、総投資額約20億円のうち約7億円の補助を受け、蓄電容量2.3万kWh、出力6MWの系統用蓄電設備を設置した。日産自動車との合弁会社、フォーアールエナジーから700台分に相当する新品と中古のEV用蓄電池を半分ずつ調達し、設備を構築した。富士電機と設備を設計し、施工を富士古河E&Cに委託した。O&M(管理・保守)は子会社のオプテックエナジーに発注した。
同社は、子会社でITサービス大手のSCSKと開発したEMS(エネルギー管理システム)を活用する。入札する市場やその商品区分などを決定し、制御計画を策定して市場取引を行う模様だ。
同社ゼロエミッション・ソリューション事業部の濵田盛亙部長は、「子会社の新電力会社が行ってきた電力の市場取引や、当社が米国で行なってきた調整力取引のノウハウを活用する」と述べた。市場取引の計画は検討中としたが、10年間で投資を回収する見込みだ。
特徴的なのは、蓄電池の劣化率や出力の状態を個別に監視できるようにした点だ。同社の濵田部長は、「中古蓄電池は個体差があり、交換時期も異なる」とし、「このシステムを利用すればどの蓄電池を交換するべきなのか判断できる」と話す。
同社は、再生可能エネルギー電源の導入ポテンシャルが高く、調整力の需要が見込まれる北海道に設備を設置した。今後は蓄電事業者向けに設備の開発や運用代行まで提供する予定だ。
同社は、全国で7件、14.9MWの蓄電池を設置して蓄電事業を進めており、26年度末までに累計100MWの蓄電池を設置する予定だ。