竹中工務店、水素を使ったVPP実用化へ
竹中工務店(佐々木正人社長)は2020年10月、水素を活用したVPP(仮想発電所)実証試験で一定の成果を得られたと発表した。21年4月に開設される需給調整市場での事業化を目指す。
同社はメーカーと共同で独自のEMS(エネルギー管理システム)を開発。自社施設に太陽光発電設備や蓄電設備、EV(電気自動車)充放電設備などを順次導入し、16年度よりVPPの実証試験を行ってきた。19年度から水素製造・貯蔵装置、燃料電池を含めた水素エネルギー設備も実証試験に取り入れ、このほど需給調整市場における三次調整力①に対応できる制御速度や正確性を達成できることを確認したという。
同社の西端康介環境エンジニアリング本部長は、「水素は製造時のロスこそ大きいが、長期保存に向いており、電気に戻す際には熱エネルギーを発生させるなど蓄電池とは違う使い方ができる」と話す。
同社の本業はあくまでも設備の設計・施工であり、VPP実証試験への取り組みは他社との差別化を図るためだ。今後はEMSや太陽光発電設備などを組み合わせてVPPへの参画を目指す顧客へ提供していく方針だ。