Inside News

スフェラパワー、球状太陽電池セル1月出荷開始

ガラス一体型向け

(左)京都駅に設置された案内板に同社の球状太陽電池が搭載されている。夜間は昼間発電した電力で光が灯る (右)ガラス一体型の球状太陽電池。シースルー性が特徴だ

球状太陽電池製造のスフェラパワー(京都市中京区、井本聡一郎社長)は来年1月からガラス一体型太陽電池向けにセルの出荷を開始する。今期中に量産体制を整えた。意匠性を訴求し、ガラスメーカーに販売していく。

球状太陽電池は受光面が1~2㎜程度の球状シリコンの集合からなる太陽電池だ。どの方向からの光であれ発電に活かせる。

同社は球状太陽電池の製造に際し「表面実装の考え方を応用した」(営業部長兼総務部長の長友文史執行役員)。シリコンを溶かして粒状へ成形し、基盤上の銅電極に敷いて上から導電性のワイヤーを通す。この段階でガラスメーカーに出荷。ガラスメーカーがセルを封止材とともに両側から挟めばガラス一体型太陽電池の完成だ。

長友執行役員は「万が一の故障時には、該当箇所を迂回して電流が流れ、発電ロスを最小限にとどめる設計を施している。そこだけ変色することもない。部分的な日陰の影響も受けにくい」と説く。

6インチ角のセルは1.2mmの粒上太陽電池を数千個搭載する。同セルを18枚搭載したガラス一体型太陽電池で出力は6.6W程度だ。

長友執行役員は「原料は多結晶シリコンより高純度だ。装置の改良を重ね、今年量産体制が整った」と語る。

特徴は「高いシースルー性にある」と長友執行役員は話す。「電極が上下に向かい合う構造で、粒同士の感覚が広くとれるからだ」。

今後同社はビルにおけるガラス一体型太陽電池の素材としてセルを販売していく。

同社は、光半導体素子製造の京セミが球状太陽電池製造部門を分社化して設立。株式の過半数は産業革新機構が保有する。

スフェラパワーはこれまでランタンやペンライトへ球状太陽電池の技術を応用してきた。11月、ガラス一体型用セルの本格販売を前に京都駅の駐輪場へ球状太陽電池搭載の案内板を6台設置した。

長友文史執行役員

Inside News を読む

一覧を見る