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CV21、球状Si製販再スタートへ

球状Si太陽電池が採用されたロードスタッド

クリーンベンチャー21(京都市南区、室園幹夫社長)はこのほど、球状Si(シリコン)太陽電池の製販事業を再開する方針を示した。現在、本社工場で再稼働の準備を進めており、球状Si太陽電池の特長が活かせる分野へ提案していく。

同社は2001年設立の球状Si太陽電池メーカー。08年に量産化したが、FITの開始以降は、スペインの太陽電池メーカーであるイソフォトンの代理店として、産業用モジュールや関連機器、住宅用システムの販売を主力事業としている。14年3月期の売上高は約20億円。今期は、系統制約の影響も若干あるものの、前期比横ばいから微増を見込む。

室園幹夫社長は、「12年後半頃から、イソフォトン製モジュールの販売事業に注力するため、工場の稼働率を落とし、必要最低限の生産にとどめていた。だが、FITはいずれ終わる。次なるビジネスの一つとして、我々のコア技術である球状Si太陽電池を再始動させる。15年度から明確に打ち出していくつもりだ」と話す。

同社は、京都市南区に本社工場を構える。月産能力は約1MW。同社の球状Si太陽電池は、基板となるアルミ箔の上に、直径1㎜のシリコン球を反射鏡で囲い、セル化したもの。耐久性が高く、フレキシブルに曲げられる点が特長だ。セル1枚(縦約5㎝×横約15㎝)の出力は約1W、変換効率は13%台としている。

「一般的な結晶系モジュールと競合しても、コストや性能面でまだまだ太刀打ちできない。それよりも球状Siの特長を活かした独特な製品をつくろうと考えている」(室園社長)。

例えば、フレキシブル性や高耐久性を活かせる市場。スマートフォンや携帯電話の充電器などの小型民生用を含む独立電源型もその一つだ。今年8月頃には、中国のある企業が製造するロードスタッド(道路鋲)用として、同社の球状Si太陽電池が採用された。

営業本部本部長の富岡一郎常務取締役は、「縁石の上や車線の間にあるロードスタッドは過酷な環境下にあり、従来の結晶系では、(車の)重さと振動で割れることも多い。1年間の実装試験を経て、正式に採用が決まった。当社製品の特長の一つである〝割れない〟という特長を活かした事例の一つだ」という。

室園社長は、「球状Siでは、ニッチトップの分野を複数つくりたい。小型民生用のほかにも、電力用としても提案していきたい。独自の建材一体型システムの開発を進めており、来春頃に発表できれば」と語った。

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