ニプロン、太陽光向けストリングコンバーター拡販へ
昇圧して発電量ロス改善
スイッチング電源の製造を手掛けるニプロン(兵庫県尼崎市、酒井節雄社長)は、電源製造のノウハウを活かし、太陽光発電向けのDC-DCストリングコンバーターを開発、販売に着手した。製品量産化の目途も立ち、これから本格的に拡販していく構えだ。
同製品は今から2年ほど前に開発された。同製品を使用することで、電柱などの影や鳥のフンなどの影響によって低下した電圧を昇圧し、発電量のロスを減らすのが狙いだ。特に複数のストリングが並列に並んでいる場合、1つのストリング内で問題が発生して電圧低下が起こると、他の正常なストリングにまで影響を及ぼすことがある。
同社本部営業部海営業課GP営業グループの大西弘之マネージャーは、「今後は日陰の多い場所など、条件の悪い土地での太陽光発電所の建設が多くなる。そういった場所ではいかに発電効率を上げるかが大事になる。当社の製品を各ストリングに取り入れ、電圧を均等にしてやれば、発電量の最適化を図れる」とメリットを語る。
同社は先を見据えて、商品を開発後にシステムインテグレータや接続箱メーカーに向けてデモ機として製品の販売を開始し、評価を重ねた。
同製品の変換効率は最大99.4%。定価は6万5000円。入力電圧が400VタイプでDC24~400V、600Vタイプで45~600Vとなっている。今年3月頃より本格的に販売を開始した。
同部グリーンパワー事業推進室の鈴木利宏室長・主幹は「入力範囲が広いので、たとえばパネル1枚と複数枚のパネルが直列に繋がれたストリングを並列に接続することも可能となり、土地の有効活用にも繋がる」と語る。
また、大西マネージャーは「同製品には寿命部品といわれる電解コンデンサを使用しておらず、期待寿命は20年以上を見ている」という。
同社は今年5月より同製品をユニット化し、同製品内蔵の接続箱の販売を開始した。8ストリング対応接続箱の参考価格は約50万円で、オプションでストリングの遠隔監視が可能だ。名称は「PVマキシマイザー」。
同社の前期(2014年6月期)の売上高は約40億円。そのうち、環境機器の製造・販売を行うグリーンパワー事業の売上は約7000万円だった。今期は全社の売上を50~60億円、そのうち同事業の売上を5億円まで拡大する目標。そして17年6月期は全社100億円、同事業で40億円を目指している。