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インフォメティス、丸紅とホームIoTサービス販売契約

AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)技術に注目が集まるなか、太陽光関連分野にも動きが出てきた。インフォメティス(東京都港区、只野太郎社長)は10月27日、丸紅(東京都千代田区、國分文也社長)とAI技術を用いた家電分離推定技術に必要なセンサー及びホームIoTサービスである『うちワケ』の販売契約を締結したと発表した。同サービスは、太陽光発電の売電状況のほか、家電ごとの電力消費量がリアルタイムで把握できるというもの。HEMS(家庭内エネルギー管理システム)の新たな形となるかもしれない。

うちワケの表示画面イメージ

インフォメティスは2013年にソニーからカーブアウトしたAIや機械学習によるデータ分析を強みとする技術ベンチャー。同社が持つ家電分離推定技術とは、家庭内の電力情報をAIが分離・分析し、家電ごとの電力使用状況を推定する技術であり、それを活用したのがホームIoTサービスの『うちワケ』だ。

「電流波形という指紋のような情報をもとにAIが家電分離データを生成する」(只野太郎社長)ため、分電盤の主幹に一つのセンサーを設置するだけで、家電ごとの利用状況を時間単位に把握できる。後付けも容易だ。

分離対象となるのは主要家電。冷蔵庫、エアコン、炊飯器、電子レンジ、洗濯機、掃除機、ヒーター・ドライヤー・ケトルなどの高熱家電、テレビ、IHクッキングヒーター、常に電力消費する家電を含む待機電力である。

スマートフォンやタブレット端末で毎月の電気代や家電の内訳などのほか、太陽光発電と連携すれば売電・買電情報も確認できる。しかもユーザーは使用家電を事前登録する必要もなく、普段通りに生活していればAIが自動で分析してくれるのだ。

只野社長は、「(AIによる)数日の学習期間ののち、約4日で画面表示、1週間ほどでデータも落ち着く。太陽光電力を測定していれば、自動的に太陽光モードに切り替わる。家の様子を遠くからでも感じられる安心感に加え、電力の内訳がわかることで効率的な省エネが可能になる」と話す。

これまで千件単位の実証を行ってきたが、丸紅との契約締結を機に本格販売を開始。また、日東工業も同社のサービスを活用した『エネサーチ付きホーム分電盤』を提供している。

只野社長は、「住宅用太陽光における売電モニターの代替かつ家電レベルの電力情報をほぼリアルタイムで確認できる」としたうえで、「それをリーズナブルなコストで実現した。サーバ費用などを含めてもモニターを置き換えて余りあると思う。クラウドで提供するので、今後のサービスの拡充もしやすい」と語る。

HEMSとの違いは家電制御ができない点。ただ、オプションのネットワークリモコンと専用アプリを揃えれば対応可能なため、必要な時に追加導入することができる。ZEHやスマートハウスの推進において、HEMSの普及は重要なポイントだが、費用対効果などからそれほど拡大していない。センサー一つで実現できる同社の技術は住宅のスマート化への突破口となる可能性を秘めるはずだ。

「AIによるデータマイニングが進めば、踏み込んだ省エネに関するアドバイスが可能となり、やがては家庭のなかでセキュリティや健康管理など、より暮らしに密着した〝AIの執事〟が生まれるはず。その第一歩が電力の見える化。API提供を含めて様々なパートナー企業との協業も進めていきたい」(同)。

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