利用拡大か!アンダー50を守るシミュレーション保証
〝アンダー50〟の発電事業者の間で、事前のシミュレーションよりも発電量が下回った場合に、不足した売電収入を補ってくれる保証サービスの利用が広がっている。一体どのようなものなのか。
一般に、出力50kW未満の低圧太陽光発電所のオーナーは、自然災害や設備の故障で売電機会を失うと、火災保険やメーカー保証で復旧し、再稼働までの売電損失は、火災保険の休業補償で補うリスク対策を採っている。
だが、太陽光発電所を稼働させた後、近隣に高層マンションなどが建ち、影がかかって発電量が当初の予測値を下回るリスク。これをヘッジする対策は充分でなかったが、ここに来てリスクが表面化し、対策を重視する動きが出てきた。
件の保証サービスは、『設備投資回収期間保証』という。低圧太陽光発電所が対象で、自然災害や設備の故障などによる要因を除いて、稼働後にシミュレーション値よりも発電量が下回った場合に売電収入を保証してくれる。ただ、年間の発電量が変動するため、10年分の過不足を集計後、設備投資額の25%を上限に不足した収入が11年目に支給される。
加入対象は、太陽光発電の販売・施工会社だ。対象の発電所の平面図や使用設備、シミュレーション値などを示した資料を提出し、審査に通れば利用できる。保険料は審査で決められるが、1サイトあたり10年間で50~70万円である。
この保証サービスを先駆けて商品化したのは、保険代理店グッドパースン(福岡県太宰府市)である。同社は2003年の設立後、東京海上日動保険の販売代理店として、法人向けに生命保険や損害保険を販売してきたが、12年末から太陽光発電分野に展開。災害で設備が損壊した場合の売電収入を補てんする休業補償を提供し、販売・施工会社との接点を増やしてきた。
そして、14年年初に複数の保険関連会社と一般社団法人自然エネルギー安心普及共済会を立ち上げ、設備投資回収期間保証を商品化したのである。
グッドパースンの河野将侑代表取締役は、「販売店さんから保険に関する様々なニーズをいただき、シミュレーション保証の開発を進めたが、既存の保険を活用できなかった。そこで保険商品の開発を手掛ける会社と協力して商品化し、複数の保険関連会社の協賛を募って商品を運用する共済会を立ち上げた」と経緯を語る。
サービスは徐々に認知され、「現在は新規利用件数が毎月30~40件ほどに増えた」(河野氏)。累計件数は1000件を超えているようだ。