日本フイルコン、PV売上倍増
運用効率化で採算性向上
紙・パルプ製造用抄紙網メーカーの日本フイルコン(東京都稲城市、名倉宏之社長)は、太陽光関連販売の売上が前年同期より倍増した。2016年第3四半期決算で、太陽光分野を含む電子部材・フォトマスク事業の売上高が前年同期比36%増の56.4億円だった。自社設計による土地付き太陽光発電システムの販売手法を確立したことで、販売件数が好調に推移し、売上と利益を押し上げた。
同社は、製紙やパルプの製造機械で使用する特殊な網の製造販売を主力事業とし、今年創業100周年を迎えた老舗企業だ。太陽光市場には12年に参入し、低圧産業用への販売から始めた。1年後には、太陽光発電システム全体を自社設計するようになり、現在は土地付きの1MW~2MW規模のメガソーラーを主力で販売する。
太陽光発電事業の義村謙二マネージャーは、業績好調の要因を「運用の効率化に成功したことが大きい」と語る。システム自体の品質やコストは然ることながら、土地の調達から販売までの仕組みづくりにこだわってきたという。
同社はまず、販売エリアの大部分を四国と中国エリアに限定した。「日射が良く、土地が豊富で安価に調達できる」(義村マネージャー)ことが理由で、現地の協力業者から安定的に土地の仕入れを行っている。
さらに、販売に関しては売買仲介人を置かず、発電事業者への直接販売を徹底する。それにより、現在の売電単価24円でも、利回り11%~12%と採算性の高い運用を提案できるという。
義村マネージャーは、「これまでは、グリーン投資減税や生産性向上設備投資促進税制を利用したい節税目的の顧客が多かったが、今後は投資対象として利回りで比較されるようになる」と考え、採算性向上にいち早く取り組んできた成果が実を結びつつあるという。今後は売電単価がさらに下落する可能性もあるが、「仮に20円になったとしても採算の見通しは立っている」(義村マネージャー)と断言。太陽光マーケットにおける今後の生き残りに自信をのぞかせた。