ベイサン、携帯充電用製品発売へ
EV蓄電池を再利用
リチウムイオン蓄電池関連製品を開発するベイサン(横浜市、矢野智久社長)は、スマートフォン充電用蓄電池の新製品を2021年2月末に発売する。EVに搭載されていた蓄電池セルを再利用する。自然災害が頻発するなか、防災拠点や病院、オフィスビルなどに提案していく方針である。
同社は、日産子会社のフォーアールエナジーから日産の主力EVであるリーフの使用済み蓄電池セルを調達し、筐体やBMS(バッテリー管理システム)を自社で設計して売り出す。
使用済み蓄電池の劣化度はまちまちだが、今回の製品では「劣化度が中間程度のもの」(矢野社長)を用いるという。
新製品には10口のUSBポートを設け、1度に10台のスマホを充電できるようにした。「普段は防災倉庫にしまっておき、停電時にだけ使うのではなく、日常的に使えるよう外観もこだわった」(矢野社長)。
新製品は、筐体の大きさが350㎜×266㎜×43㎜で、重量は5.7㎏である。希望小売価格は税別9.8万円で、専用のスタンドが付いている。
矢野社長は、「これまでEVの再利用蓄電池は少なかったものの、徐々に出回り始めている」としたうえで、「5~6年にわたって、EVで使用した蓄電池をもう一度EVに使うことは難しいが、他の用途では充分に再利用できる。EV用の蓄電池は、過酷な条件での使用に耐えられるものであり、再利用品でも安全性や信頼性が高い」と強調する。
同社は、将来製品が使用できなくなった際、回収まで手掛けるという。2年後に年間5000台の販売を目指している。