NSW、太陽光パネルを搭載したスマートゴミ箱で実証実験
ソフトウェア開発の日本システムウエア(東京都渋谷区、多田尚二社長)は、今年6月からハウステンボス(長崎県佐世保市、澤田秀雄社長)と共同でスマートゴミ箱の実証実験を進めている。ゴミ箱には太陽光パネルを搭載し、自立運転でセンサーを稼働させ、蓄積状況を見える化する。導入実績のない国内で、ゴミ収集業務の改善効果を検証し、商用での販売を目指す。
日本システムウエアが販売するスマートゴミ箱は、米ビッグベリー社の『BigBelly Solar(ビッグベリーソーラー)』だ。天井部の太陽光パネルで発電した電力を内臓のバッテリーにため、自立的に動作する。内部のセンサーでゴミの蓄積状況を感知し、モニタリングシステムで確認することができる。
ゴミの蓄積が増えると、モニタリングシステムの管理画面上の表示が、青、黄、赤の順に変化する。SIMカードが内蔵されているため、パソコンだけでなく、携帯端末からの閲覧も可能だ。
地図上でゴミ箱の設置場所と蓄積状況を表示できるほか、回収した頻度とタイミングをグラフ化したり、効率性を数値化したりできる。設置した地域内でのゴミ箱の利用状況が明確になるため、「使用されていないゴミ箱を使用の多い位置に移動するなど、効率的な運用が可能」(ITソリューション事業本部M2M/IoTビジネス部企画開発グループの二村勝男マネージャ)になる。
価格は自動圧縮機能付きのタイプが約50万円、蓄積状況を可視化する機能のみのタイプが30万円だ。2個を併設した場合は、1個分の太陽光パネルで電力を賄うことが可能で、4~5万円程度安くなる。
一般的なゴミ箱と比べると当然割高だが、二村マネージャは、「150万人が暮らす米国フィラデルフィアで、500台のビッグベリーソーラーを設置したところ、年間のゴミ回収コストが1億8千万円削減したというデータもある」と説明する。ゴミ箱自体の数や収集回数、回収要員など、トータルでのコスト削減効果が期待できるという。
欧米では、自治体を中心に累計7000個を販売している。「ソーラーパワーの使用による環境保護や、最先端のICT技術への取り組みを、外部へのメッセージとして発信できる」(二村マネージャ)ため、学校や病院でのニーズも増えているという。
日本システムウエアの実証実験は、他に東海大学情報通信学部組込みソフトウェア工学科でも1月から行われている。これまでに故障などの不具合が発生した事例はなく、今後も引き続き検証を続けていく予定だ。