NEDO、遠隔出力制御システム実証着手
システムの実証運転17年度に開始
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は6月27日、遠隔出力制御システムの開発に着手したと発表した。太陽光発電の出力制御技術の確立を目指し、関連する電力会社とともに実際の電力系統設備を使って17年度にシステムの運転を開始する。
2015年1月に再生可能エネルギー固定価格買取制度の省令が改正され、新たに系統連系する発電所には、遠隔出力制御システムの設置が義務付けられているが、通信方式や装置の規格、運用方法などが明確になっていない。電力会社は実証を通して、具体的な出力制御システムの運用方を確立し、実際の運用に繋げる方針だ。
NEDOは、15年6月から風力発電の遠隔出力制御の実証を進めており、今回新たに太陽光発電を実証に加えた。参加する電力会社は東京電力ホールディングス、関西電力、北陸電力、九州電力で、一般送配電事業者の東京電力パワーグリッド、東京大学、早稲田大学、エネルギー総合工学研究所が参画し、2年間の実証を行う。
新エネルギー小委員会(系統WG)の要求仕様に従ってシステムを構築し、双方向通信方式、アグリゲータを介する単方向通信方式と、カレンダー方式の3つのパターンで検証する。九州電力は単方向通信方式、東京電力、関西電力、北陸電力は双方向方式の検証を主に進める。
単方向通信方式とカレンダー方式は、アグリゲータを介して住宅やマンションなど低圧の発電所で主に運用し、電力会社がアグリゲータに相当するサーバーを設置する。双方向通信方式は主にメガソーラーなどの大規模発電所で運用する。
実証では他に、分散型電源の遠隔制御システムとして、スマートインバータや、出力制御ユニットをHEMSで管理し、一般家庭やマンションなどの需要側での制御の検証も行う。各電力会は、発電事業者に加え、メーカーや一般家庭にも協力を得て実証を進める。
NEDOスマートコミュニティー部系統連系グループの炭田義尚主査は、「再生可能エネルギーの導入量を増やすためにより細かな制御システムを構築する。実証を通して課題を探り、今後の運用に活かしたい」と語る。事業予算は3か年で総額74億円を予定している。