住宅用PV積載可能量をウェブで確認
名古屋市が無料提供
名古屋市は3月25日、既築住宅向けに太陽光発電システムの積載可能量を算出する無料サービスを始めた。太陽光発電の導入を促したい考えだ。
市が開始した『名古屋市ソーラーパワー診断マップ』は、市内の戸建て住宅の住民を対象にしたウェブ上のサービスだ。マップ上で自宅をクリックすると、搭載可能な太陽光発電システムの容量とその地点の年間日照量に加え、年・月単位で予想発電量と予想売電金額、CO2削減量も表示される。
同サービスには、航空写真や市の都市計画基本図をもとに市全域の土地や建物、屋根の形状があらかじめ入力されており、ユーザーは住所などの情報を入力する必要がなく、簡単に利用できる。
日照量は、市の緯度と経度から季節ごとの太陽の動きを計算し、気象庁の過去30年分の日照データをもとに算出する。名古屋市環境局環境企画部環境企画課の土屋佳弘主査は「特徴は周囲の建物や影の影響も考慮した点だ」と話す。
年間売電金額は、今年度の住宅用の買取り価格31円に年間発電量の7割を掛け合わせた値を表示している。
システムは国際航業(東京都千代田区、土方聡社長)が開発した。同社は東京都に同様のサービス『ソーラー台帳』を提供した実績を持つ。
市は昨年5月『ソーラーパワー診断マップの開発及び運用業務委託』の事業者を公募し、一般競争入札により7月、国際航業が約2290万円で落札。今年3月のリリースに至った。新サービスは太陽熱への応用も可能だ。
市は2011年12月、20年までにCO2排出量を1990年時の25%削減する目標を掲げ、再生可能エネルギーによる発電設備を370MW建設する計画を立てている。「実質そのすべてが太陽光」(土屋主査)で、15年12月末時点における導入量は159.2MWにのぼっている。
ただ、370MWの目標値のうち、10kW以下の住宅用システムで260MWの導入を目指しているが、住宅用の設備認定容量は15年9月末時点で85.7MWにとどまっていた。市は新サービスを提供し、住宅用の導入を促したい考えだ。
市は今年度もkWあたり2万5000円の『既設住宅用太陽光発電導入補助金』を確保した。予算額は1億2000万円で、1戸あたりの上限は12万5000円。14年度の執行率は約96%で、27年度も同程度で推移した模様だ。