丸紅、ネミーと業務提携
低圧・住宅用太陽光の販路拡大へ
丸紅(東京都千代田区、國分文也社長)は2月15日、架台製販のネミー(東京都目黒区、根上幸久社長)と太陽光発電システムの販売における業務提携に合意した。丸紅の持つ資本力や信用力に、ネミーの有するシステムエンジニアリングを含めた技術サポート力や営業ノウハウを組み合わせ、低圧・住宅用太陽光事業のさらなる販路拡大を目指す。
両社は約2年前から業務提携に向けた協議を開始し、このほど合意した。今回の提携により、ネミーが現在、自社ブランド販売している住宅用太陽光システム『エネガーデン』は、丸紅の提供する太陽光システムに切り替える。両社は、低圧・住宅用太陽光システムの販売網を統合し、ネミーが顧客に販売する。
ただし、今後の販売においては、丸紅がシステムメーカーであり、売買契約における売主となる。ネミーは営業の業務委託の形で販売することになる。
住宅用太陽光システムの架台はこれまで通り、基本的に米・ゼップソーラー製を採用する。ゼップ社が対応していない陸屋根などについては、「ネミーさんの持つ知見や技術力で丸紅システムの架台として供給していただくこともある。シナジーを生み出せるはずだ」(丸紅の西川泰造電子材料第一課長)。
丸紅は、太陽光マーケットにおいて、グローバルで原材料やモジュールを販売。国内市場でも、メガソーラーやミドルソーラー向けのモジュール販売にとどまらず、今年度からは独自の住宅用太陽光システムの販売を開始するなど、積極的に事業拡大を図ってきた。
一方、空調・産業機器架台製販のネミーは、架台メーカーとして太陽光市場に参入。2009年頃からは自社ブランドの太陽光システム販売を始めた。FIT開始に伴い、業容を拡大し、直近の決算(15年7月期)では、売上高35億82百万円、税引き前利益で黒字を計上している。
丸紅の西川課長は、「住宅用太陽光システム事業では、顧客サービスの拡充と、我々の機器選定のノウハウを活かした付加価値の向上を目指している。ネミーさんと我々の考えるターゲット層は非常に近く、今回の業務提携でシェア拡大を狙えると考えた」と話す。
ネミーの根上幸久社長は、「当社は、太陽光関連事業において、細かなシステム設計を強みとしてきた。この業務提携は、今までの販路を活かしつつ拡大できるうえ、我々にとっても、丸紅さんの持つ資本力や調達力を最大限に活かせると考えている」と語る。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やスマート住宅の推進の動きもあるなかで、住宅用太陽光分野は、注目を集める市場。だが、ここ2年は、全量売電市場の活性化や買取り価格の低減、出力制御ルールの変更などにより、市場マインドが冷え込み、停滞期を迎えている。
市場全体で再び成長軌道を目指すなかでの今回の業務提携。新しい風を生み出せるか、注目される。