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東芝ライテック、住宅用蓄電システムの出荷倍増

SCiBを採用したリチウムイオン蓄電 システム

東芝ライテック(神奈川県横須賀市、揖斐洋一社長)は、2015年度の家庭用リチウムイオン蓄電システムの出荷台数が前年度比倍増の5000台を超える見込みだ。補助金の追い風で出荷を伸ばした。

製品ラインナップは蓄電容量6.6kWhと4.4kWhの機種。出力はそれぞれ3.0kVA(停電時2.0kVA)と2.5kVA(同2.0kVA)。基本的に蓄電池とPCS一体の製品であるが、15年度より一部ハウスメーカーへ蓄電池とPCSの分離納入を開始した。蓄電池を室内に、PCSを室外に設置することで、「ハウスメーカーが工場内で蓄電池を組み立てた状態で出荷できるようにした。現場作業はPCSの設置だけだから設置コストを削減できる」(住宅間照明機器事業部スマートエネルギー事業推進部の宇津巻隆久部長)。

同システムの特徴は、東芝製のリチウムイオン電池『SCiB』を採用している点だ。「負極に炭素系材料を使う一般のリチウムイオン電池とは異なり、チタン酸リチウムを採用して長寿命化、急速充電を実現した」(住宅間照明機器事業部の北川晃一部長附)。

同製品はサイクル寿命試験1万2000回後も電池残量90%を維持。またマイナス20℃から40℃の環境下でも使用可能で、充電時間は約20分/kWhとしている。

他の蓄電池メーカーと同様に課題はコスト低減。現在、市場価格は20万円/kWh弱だが、国が定める目標は数年内に10万円/kWh以下。しかし、「EV車も含めて、出荷量が数桁上がらないと量産メリットは出ない。車載用で使用した電池を家庭用蓄電システムにリユースするにも、電池自体が長寿命なので当分はものが出てこない」(北川部長附)とコストダウンの特効薬は今時点ではなさそうだ。

16年度は蓄電池単体の補助金が廃止される。市場全体が縮小すると予測しており、出荷台数は15年度並みを目標とする。

宇津巻部長は、「太陽光の19年問題などもあり、蓄電池のニーズが高まっていくのは間違いない」とし、「我々は蓄電システムだけではなく、HEMSを中心に照明や給湯器、その他家電なども商材として持っているので、制御機能を含め、システムとしていかに消費者にメリットを遡及できるか、16年度はこの点に注力していく」と語る。

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