グリムスソーラー、蓄電池のセット販売好調
前年比3倍に
住宅向用太陽光発電システムを販売するグリムスソーラー(東京都品川区、加藤孝介社長)は、蓄電池とのセット販売が好調に推移している。蓄電池の2016年3月期の売上高は、前年比3倍の13億5000万円に達する見通しだ。
同社は14年末、蓄電池のセット販売を担う専門チームを立ち上げた。15年4月には30名に人員を拡大。年間を通して蓄電池のセット販売に力を入れてきた。
蓄電池単体の売上は、上期だけでも前年を上回る6億円を超え、下期は専門チームの人員を拡大。7億5000万円程度の売上を見込んでいる。台数にすると年間で約650台である。
加藤孝介社長は、「14年9月の九電ショックで、住宅用太陽光も打撃を受けた。価格競争が激化するなか、太陽光単体ではなく、蓄電池とのセット販売に活路を見出した」とし、「専門チームを構築し、蓄電池の知識と営業ノウハウを植え付けるなど体制を整えてきた」と話す。
扱う蓄電池は京セラ製、パナソニック製、長州産業製の3社。極力コストを下げるために、メーカーの協力も得ているようだが、それでも補助金がなければ、蓄電池の導入コストは高い。
加藤社長も、「顧客にとって、決して採算のとれるものではない」と販売の難しさを認める。
経済面でのメリットを伝えるだけでは、顧客の獲得につながらない。非常用としての安心・安全や、将来の備え、社会的意義など、顧客の家族構成や志向性に応じた訴求がカギとなるようだ。
同社にとって、蓄電池は、太陽光単体で導入に踏み切れない顧客への新しい切り口になるという。ただセット販売では、太陽光システムを値下げしなければならず、上期全体の売上高は1.5%減少した。
それでも、加藤社長は、「補助金がなくても、誰かが売らなければ蓄電池の市場は縮小してしまう。他社との差別化という観点からも、当社は蓄電池販売を継続・拡大していく。先手を打って対策を講じていきたい」と意欲的だ。
同社の累計顧客数は間もなく1万人に達する。今後は既存顧客への蓄電池の単体販売も視野に入れる。