CSS、発電所診断サービス 3月無償提供
太陽光発電所の開発やO&M(管理・保守)を手がけるCSS(北海道札幌市、吉住謙社長)は、今年3月から太陽光発電所の診断サービスを無償で提供する。気象データなどから理論発電量を算出し、実発電量と比較して評価・診断する。初年度は1000件の提供を目指す。
同社の診断サービスは、前日の日射や気温などの条件において、正常であればその発電所がどの程度発電するはずだったのか、理論発電量を導き出す点が特徴だ。理論発電量と実発電量の間に乖離がある場合、システムが過去の不具合事例と照合し、影の影響か、パネルの汚損や機器の不具合によるものか判断してレポートする。レポートでは理論発電量と実発電量をグラフ化して記載。日時レポートで1日ごとの発電状況を確認し、月次レポートで経年劣化が進んでいないかを診断する。
吉住謙社長は、「保有する発電所の実力を把握できている人はかなり少ないはず。発電事業の長期計画の多くは、低めに見積もっている。にもかかわらず、その値を越えていれば、問題なく稼働していると見なす事業主が多い」と話す。
実際、長期計画値を越えていた案件に同システムを導入したところ、汚損により2割程度発電ロスを起こしていたところもあったという。
無償提供について、吉住社長は、「大勢のユーザーが利用すれば膨大なデータが集まる。それを分析することでより精度の高いシステムの構築が可能になる。また新たなサービスを始める窓口にもなる」と語る。
同社のサービスは基本的に無料だが、例えば発電所にトラブルが発生した場合の原因究明や発電所の価値を評価するデューデリジェンスなど、一部有料サービスもある。
同社は2年前からシステムの構築に取り組み、自社で開発またはO&Mを担う発電所を中心に30基、出力換算で20MW以上にシステムを試験導入した。
システムの使用にあたっては、ユーザーが発電量と日射量、気温のデータをダウンロードできることが条件だ。遠隔監視装置や日射計、温度計が設置していない発電所では同サービスを受けられない。またユーザーは発電所の所在地や系統電圧区分、パネル、PCS(パワーコンディショナ)のメーカーや出力、監視装置などの情報を提供する必要がある。
なお、CSSは昨年4月、社名を『市民ソーラー』から変更した。5月には本社を東京から北海道札幌市へと移転した。