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中立電機、北海道110MW案件に集電箱600台納入

受配電盤製造の中立電機(愛知県名古屋市、石原猛社長)は今年12月に北海道勇払郡で稼働する出力110MWの太陽光発電所に集電箱を600台出荷した。寒冷地での使用に際し、集電箱にスペースヒーターを搭載。ユーザーの要望を汲み取った製品の提案で実績を伸ばしている。

今年3〜5月にかけ北海道に出荷した集電箱は、マイナス20℃の環境下における動作を想定している。太陽光発電所が稼働している間はシステムが発熱するため凍結の心配はないが、システムが停止し、気温の下がる夜間には対策が必要だ。

同社はスペースヒーターと温度センサーを集電箱内に取りつけた。任意に設定した温度を下回った段階でヒーターのスイッチが自動で入り、筐体内が一定温度まで温められるとスイッチが切れる仕様だ。

特機事業部の福地聡事業部長は「あらゆる型式試験をクリアし、品質に自信がある。コストも抑えて提供できた」と語る。集電箱には監視装置も搭載した。例年集電箱の出荷量は200台程度であるが、今期は700〜800台になる見通しだ。

同社は太陽光発電向けに集電箱ほか接続箱や系統連系盤、PCS収納盤、気象変換箱を製造している。「標準品を用意せず、ユーザーの要望や設置条件に合わせて製品を提案、製造するカスタムメーカーだ」(細田淳敏専務取締役)。愛知、栃木、福岡に工場を構え、板金から塗装、組み立て、検査まで自社で行う。「技術力が売り。見積りや質疑には即日対応する」(福地事業部長)。

太陽光市場へ参入したのは2010年。物流倉庫の屋根上に接続箱を納入した。「折板屋根の上に平らにパネルを載せた現場だった。日が当たって影を作り出さないように小型の接続箱を製造した」(福地事業部長)。

現在同社の太陽光事業を牽引するのは高圧発電所向けの系統連系盤である。12年の初出荷以来、年間100機のペースで販売してきた。福地事業部長は「あらゆるPCSに対応できる。1サイトに電圧違いのPCSが複数あっても問題ない。何十MWの発電所でも対応可能だ」と語る。

同社は数十年来、6600Vの電圧を200Vや100Vへ降圧する受配電盤を製造してきた。細田専務は「国内シェアトップの実績から系統連係盤も信頼を得ている」と話す。

今後について福地事業部長は「すでに納入した接続箱、集電箱向けに、監視装置を販売していきたい」と話す。

15年3月期の売上高は前期比5%増の180億円だった。今期は190億円に伸長する模様である。

(左)福地聡事業部長 (右)細田淳敏専務取締役

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