君岡鉄工、売上微減も来春栃木で新工場稼働
杭製造の君岡鉄工(奈良市、君岡誠治社長)は2015年11月期の売上高が前期比3%減の8.6億円で推移する見通しだ。太陽光発電向けの杭の出荷が振るわなかったが、仮設リース向けが伸長した。来年3月には栃木県宇都宮市で新工場を竣工する。輸送と製造コストの低減を図り、巻き返しを狙う。
同社は今期約66万本の杭を出荷したが、前期と比べ約1万本少なかった。昨年度の総販売量のうち2割を占めていた太陽光向けの出荷が前期比3割減少したという。企画部の君岡銀平部長は「件数でいえば前期の半分程度。太陽光市場は縮小気味だ」と話す。
だが同社には太陽光市場から撤退する考えはない。君岡部長は「買取り価格が下がるなかコスト要求が強まっている。当社の杭は価格競争力がある」と自信を見せる。kWあたりの杭の価格は2000円台だ。50kWの太陽光発電所であれば、設置する杭の本数は80本程度である。
同社が製造する杭は亜鉛めっき製である。長さ60〜400㎝まであり、錐形の先端にはハガネ材を全周溶接してある。「埋設物は通常掘って取り除かなければならない。だが当社の杭の先端は固く、石を割って進む場合もあれば、石が先端に沿って逃げていくこともある。地盤を乱さずに地中を進むから、引き抜き強度は足場管の2.5倍強い」(君岡部長)。
今年8月、同社はめっきの厚さを増し、耐久性を高めた製品を発売、提案を強めている。
同社の杭は太陽光専用架台とつなぎ、コンクリート基礎の代わりとして使用される場合も増えているという。
これまで同社の生産拠点は奈良市内の本社工場だけだったが、来年3月に2倍の面積を持つ新工場を栃木県宇都宮市で稼働させ、2拠点体制を敷く。関東向けと関西向けの出荷を分け、輸送費の低減に努めつつ、新工場ではコストを抑えた製造にも取り組む。