太陽光+蓄電池でスマホ充電
都内2ヵ所で実証開始
東京都と東京都環境公社が新しい取り組みを始めた。太陽光で発電した電気を蓄電池にためてスマホなどを充電する『シティチャージ』を10月、東京タワーと虎ノ門ヒルズの2ヵ所に設置した。1年間の実証試験を通して再生可能エネルギーの普及啓発を促す。
シティチャージは、米ニューヨークで普及している公共のスマホ充電器、『ストリートチャージ』をもとに生まれた。東京都環境公社創エネ支援チームの稲垣憲治主任は、「昨年の海外出張でニューヨークを訪れたとき、『ストリートチャージ』が公園などに当たり前のようにあった。太陽光を身近に感じることができると思い、日本でも同じことをしようと企画した」と話す。
企画は通り、プロジェクトが発足。15年3月に都と環境公社が設置事業者を募集し、7月にシャープを採択した。シャープはシティチャージの設置と保守を担当し、費用も負担。日本電波塔と森ビルは無償で設置場所を提供した。シティチャージは10月7日に東京タワーで、31日に虎ノ門ヒルズでそれぞれ運用を開始した。
シティチャージは、出力95Wの太陽光パネルと、1人15分充電として60人が使用できる容量の蓄電池からなる。1台で3人同時に使用できる。
事業開始にあたって、稲垣氏は、「前例のない事業に、皆さん不安を感じられたようで、なかなか設置許可をいただけなかった。特に安全面を懸念されていた」。そこで今回は、風速60m/sの強風にも耐えられるよう設計を施したという。
日本での運用にあたって、「改良点は2つ。ひとつは絵文字を掲げて外国人旅行客にも分かりやすくしたこと。もうひとつはLED照明を搭載し、夜間は照明として活用できるようにした」(稲垣氏)。
1年間は実証試験期間とした。利用者の意見を集め、活用方法を検討していく。