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大和電機、パネル冷却・洗浄装置 取り扱い開始

自社発電所で実証試験

サンナップが散水する様子

鹿児島県内を中心に太陽光発電所のEPC(設計・調達・建設)で実績をあげている大和電機(鹿児島県霧島市、岩﨑一美会長)が太陽光パネルを冷却・洗浄する装置の取り扱いを始めた。2ヵ所の自社発電所で実証試験を行う。モデルプラントとしてデータを収集しつつ水平展開していく。

結晶シリコン系太陽光パネルは、表面温度が上昇すると変換効率が落ちる。またパネルの受光面に埃や汚れが付着することも発電量低下の原因となる。

大和電機が発売したのは、発電効率を低下させる2つの原因を解消する韓ハイレベン製の冷却・洗浄装置『サンナップ』だ。パネルに設置したノズルから水が噴射し、一定の間隔を置いてそれを繰り返すことでパネルの表面温度が上昇するのを防ぎ、かつ受光面を清潔に保つ。空気と水が混ざった二層流動によって汚れを除去する威力が生まれ、節水につなげる。韓国ではすでに100MWを超える導入実績を持つという。

1MWの発電所であれば、設置するノズルの数は約400個。ノズルは1分間で6ℓの水を噴射する。事業者があらかじめ季節に応じて噴射時間と噴射の間隔を設定すれば、自動で散水する。小型端末などから設定は常時変更できる。

ハイレベンから同装置を輸入するのは、再生可能エネルギー関連機器の貿易会社ジェイトレイドだ。大和電機はジェイトレイドから仕入れ、同装置を1MWあたり3000万円程度で販売する。

ジェイトレイドの執行役員鈴木健太郎営業部長は、「日射量が豊富な時間帯は、一方でパネルの表面温度は上昇し、大きなロスが起こる」と話す。大和電機の岩﨑健太社長は「夏場は最大変換出力と日射量を掛け合わせた理論値と比較し、発電量が20%低下することもある。冷却による効果は大きい」と語る。

鹿児島県では太陽光発電所の建設が進んでいるが、桜島の火山灰に悩まされる事業者は少なくないようだ。

岩﨑社長は、「パネルを洗浄した後に再び火山灰が降ることもある。以前から洗浄装置を探していたが、製品が見つからなかった。だが1日を通して洗浄できるサンナップであれば、鹿児島でも発電事業を安心して行える」。

サンナップを設置する際は発電所付近で地下水源を確保し、井戸を掘る必要がある。地下水をポンプで組み上げ、軟水に浄化し、タンクに貯めておく。電源は発電所内のキュービクルから確保する。井戸水の掘削には数百万円のコストがかかる模様だ。

今年8月、大和電機は自社で保有する鹿児島県日置市の1MWの太陽光発電所にサンナップを導入した。750kW分に同装置を取り付け、装置のない箇所と発電量を比較し、製品の効果を検証する。9月中にも佐賀県鳥栖市のメガソーラーで実証試験を行う予定。1MWのうち500kW分に装置を搭載する。

岩﨑社長は「まず自社の発電所でデータを集めてから提案していきたい」と述べた。

(左)ジェイトレイド 鈴木健太郎執行役員 (右)大和電機 岩﨑健太社長

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