カネカ、ヘテロ接合型モジュール 下期発売へ
薄膜太陽電池製造のカネカ(大阪市北区、角倉護社長)が、薄膜シリコンと単結晶シリコンを組み合わせたヘテロ接合型セルを開発、下期に同セル搭載の新型モジュールを発売する。薄膜技術を応用して高効率化を実現した。競争の激しい住宅用市場でシェア拡大を狙う。
ヘテロ接合型セルとは、異なる素材の半導体を組み合わせた太陽電池セルを指す。同社は単結晶シリコンウエハの上に薄膜シリコン膜を蒸着させ、6インチ角のセルを製造。同セルを54枚直列に繋いで、出力250W、変換効率17.1%の新型モジュールを開発した。
新製品の特徴は、セルの電極素材に、一般に使用されている銀ではなく銅を用いた点だ。「銅は銀に比べてコストが安い。抵抗値が小さいので発電ロスも減る」(ソーラーエネルギー事業部長の泥克信執行役員)。
同社は、N型シリコンウエハを購入し、このほど自社の豊岡工場でヘテロ接合型セルの商用生産を始めた。モジュールはまず通常サイズを量産し、主力の建材一体型は今後製品化していく。
同社は1980年から薄膜シリコン型モジュールの開発を進めてきたが、変換効率は10%程度にとどまり、同15%以上の結晶系やCIS型よりも低く、販売は振るわなかった。
2001年には薄膜多結晶シリコンと薄膜シリコン膜のハイブリッド型セルを開発。また同年からモジュール化技術に力を入れ、屋根材と一体にした建材一体型モジュールを量産したが、年産能力は120MWにとどまり、FIT始動後も販売はそれほど伸びなかった。
しかしここに来て薄膜技術でヘテロ接合型セルを開発し、7月には同セルで変換効率24.52%を達成。「6インチ角のヘテロ接合型セルで世界最高記録」(泥執行役員)を打ち出した。
泥執行役員は「モジュール効率19.6%の製品はすでに製造できる。バックコンタクトを導入するなどして出力を上げていく」と自信を覗かせる。
その一方で、建材一体型へのこだわりも見せた。泥執行役員は「瓦やスレートのサイズに合わせられるため、屋根の意匠性が格段に上がる。建材は値が張るので一体にすることでトータルコストを抑えられる」とし、ヘテロ接合型セルを搭載した建材一体型モジュールで付加価値を高め、住宅用市場への展開を強めていく構えだ。