Inside News

NEDOプロ、水田上空の太陽光発電が連系

稲の生育は順調。収穫後は九州大学に収量や品質の調査を依頼する予定だ

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「太陽光発電多用途化実証プロジェクト」のひとつ、佐賀市の水田上空の太陽光発電設備が7月31日に系統連系を完了した。テーマは「米と発電の二毛作」で、事業者は福永博建築研究所(福岡市中央区、福永博社長)。佐賀市内の山間部にある棚田で行う営農型発電設備だ。

同プロジェクトでは、営農型発電設備を導入した際の稲の生育調査に加え、強風時における基礎・架台の安全性を考慮した設計が施されている。従来の営農型発電設備は、初期投資を最小限にするため、単管パイプを架台にする例も多かったが、昨今の異常気象で大雨や突風などの影響が懸念されていた。

同発電所では、水田の両端に立てたタワーをワイヤーで繋ぎ、その上に架台を設けてモジュールを並べている。架台は高さ2~3mの間で上下に調節でき、トラクターやコンバインなどの機械が入る際は架台の位置を高く、強風時は架台を2mまで下げた状態で抵抗を抑える仕組みとなっている。

建築基準法の風速基準を基に、平均34m/秒、最大64m/秒で試験したところ、ひずみや浮き上がり等異常はなかった。実際に水田に架台を設置後、測定された最大風速は14.3mだというが、水田という地盤でも支障なかったそうだ。発電所の総出力は14.45kWで、本事業の総事業費は約6000万円。うち3分の2をNEDOが補助した。

同社の草野寿康氏は、「山間部は冬寒冷のため二毛作ができず、稲刈り後は翌年まで放置している。その期間、農家の方の収入源になればと、このテーマに取り組んだ。建築屋なので安全な構造物を建てることが専門。異常気象にも耐え得るシステムだ。実験後の商品化も視野に入れている。kWあたり30万円以下を目指したい」と話した。

Inside News を読む

一覧を見る