井上商事、アルミ架台20MW出荷
折板屋根用が牽引
アルミ外装建材メーカーの井上商事(福井県福井市、井上繁社長)が太陽光用架台の製販で実績を伸ばしている。2014年12月期は20MW出荷、折板屋根用架台が牽引し、全体の75%を占めた。今期も前期並みで推移しそうだ。
同社は今年で創業65年。当初は石炭や石油の卸業が主だったが、約20年前にアルミ建材の製造を開始した。アルミ材を新エネルギー分野に活かそうと、太陽光用架台の製販に着手したのが2010年。グリーンニューディールやスクールニューディール政策を受け、地元福井の環境に適した積雪に強い架台を開発し、野立て用や陸屋根用、折板屋根用などを製品化してきた。
同社の架台は、アルミ材質『A6N01』に陽極酸化塗装複合被膜A1の表面処理を施している。これは、一般建材で用いられるアルミ規格の約2倍の耐力で、溶融亜鉛メッキ処理の鉄製架台と遜色ないレベルだという。
アルミは鉄に比べ錆が発生しにくいという利点がある。同社が福井県坂井市で、自社製のアルミ金具と高耐食性亜鉛メッキ金具で劣化進行の比較を行ったところ、経過年数2年で鉄製金具に錆が生じ、錆が屋根まで浸食する〝もらい錆〟を確認した。
一方、アルミにも弱点はある。たわみにくさを示すヤング係数は、鉄がアルミの約3倍で変型しにくい。同社では、アルミのたわむ性質を正確に示すため、強度計算書を用いた独自の検証体制を敷いている。
同社の井上繁社長は、「アルミは細長比によってたわみやすさが変化する。当社では長い部材は強度を割り引いて計算するなど、安全設計に努めている」と述べる。
入念な強度計算や安全性を強みに、14年12月期は20MW出荷、15年12月期も同等の出荷量を見込んでいる。「アルミの地金価格は上がり基調で一時より3割近く値上がりしている。製品のコストダウンは難しいが、安全性を第一優先に、部品点数の削減や、製造方法の機械化・省力化に取り組んでいく」(同)。