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中国架台メーカー、低圧・屋根上に攻勢か

(左)厦門BSLのカーポート用架台(右)グーマックスの野立用架台

野立て用架台の安値攻勢で受注を伸ばした中国の架台メーカー。だが、日本の野立て案件の新規開発が停滞しており、今年から販売が伸び悩んでいる。市場が縮小するなか、中国勢は低圧・屋根上案件の獲得に動き始めた。

「買取り価格の減額の影響だろうか。日本向けの出荷が減少しつつある」。アルミ架台を製造する中・グーマックスの王小燕部長は厳しい表情で語った。

同社は野立て用のアルミ架台をkW単価約1万2500円と、日本製の6掛けの価格で販売。現在日本向けに月間20MW出荷し、今年の出荷量は200MWの見込みだが、昨年実績を下回るという。

同じく中国のアルミ架台メーカー、厦門BSLの営業部陳美鳳氏も、「日本の市場は縮小ぎみ」との見方を示した。同社は2012年の創業と同時に日本に進出、アルミ架台の売価は輸送費込みでkW単価1万3500円からだ。コスト競争力を強みに昨年までは受注を伸ばしたが、今年の日本向けの出荷は、前年並みの200MWにとどまる見通しだ。

それだけに、グーマックスの王氏は、「中国への展開を強める」とし、厦門BSLの陳氏も「今年から欧州や台湾、ベトナム、さらに中国国内への展開に力を入れる」と販売戦略を見直す考えだが、日本から撤退するつもりはない。むしろ製品群を増やして潜在需要の掘り起こしに躍起だ。

グーマックスは「日本は重要な市場」(王氏)と捉え、主力の野立て用に加え、重り固定式の陸屋根用や陶瓦屋根用、折板屋根用のほか、カーポート用や農業用などラインナップを充実させている。

厦門BSLの陳氏は、「高圧案件は減ったが、今年は低圧案件や屋根上案件が多い。農業用やカーポート用を提案していく」と意欲的。今年3月にカーポート用架台を発売し、日本のユーザーからの問い合わせが増えている。

一方、1200MWの年産能力を持つ杭州ファーディンソーラーは今年から日本市場へ参入する。初年度20MW出荷する目標を掲げ、追尾式架台の提案を強化。角度のみが動く1軸型をkW単価5万円、角度と向きが動く2軸型を同7万円で売り出す。追尾式は固定式に比べ高額で、日本製の2軸型は同8~9万円。同社の競争力は充分だ。

日本の某架台メーカーは「昨年1月から今年1月までアルミの価格は高騰した。アルミは地金変動がしやすく、kW単価2万円での提供がやっと」と漏らす。円安の影響を受けているにもかかわらず、中国製架台の売値は日本製の6~7掛けと安い。市場が縮小するなか、中国勢は低圧案件や屋根上案件に攻勢をかける狙いだ。日本の架台メーカーはどう応戦するのだろうか。

ファーディンソーラーの2軸型追尾式架台

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