大成建設、太陽光設備向け簡易基礎を開発
ゼネコン大手の大成建設(東京都新宿区、村田誉之社長)は5月27日、軟弱地盤や狭小地、斜面などに適した太陽光発電向けの基礎を開発したと発表した。ラスコジャパン(兵庫県三木市)及びブイ・エス・エル・ジャパン(東京都新宿区)と共同で開発した。
今回開発した基礎では、ダクタイル(超高強度繊維補強コンクリート)製台座1つにつき、4本の単管パイプを電動ハンマーで打ち込む。パイプは地面に対して斜めに入っていき、樹木が根を張るような形状になり、強度が増すという仕組みだ。
更に、風等の荷重で台座とパイプにずれが生じないよう、台座にはパイプと固定するための金具が取り付けられている。パイプを打ち込み終わったあと、台座側面に設けられている穴からドリルで穴を開け、そこに固定金具を取り付ける方法だ。
同社環境開発部環境インフラ開発室の田中裕美室長は、「台座と各パイプを固定すると遊びが少なくなり、横からの力を受けても変位が小さい。様々な角度から風が吹いても耐え得るよう、ひと手間かかるが固定する方法を選択した」と話す。
同社は、この基礎を用いた工法の設計・施工マニュアルを作成。15年3月には、土木学会から技術評価表を取得した。
この製品の開発経緯について環境インフラ開発室の岸田恒明課長は、「以前、山道整備事業をラスコジャパンと共同で行ったことがきっかけで、今回一緒に太陽光向け基礎を開発する声かけをした。台座については、ダクタイルの知見を持つブイ・エス・エル・ジャパンに製造・販売をお願いした」と述べている。
FIT価格の下落や事業用地の減少などで新規案件確保には不安があるが、「この製品は、重機が入れない土地や水田跡地など、条件のわるい場所で施工メリットがある。撤去もパイプを引き抜くだけで全て金属なのでリサイクルが可能。コンクリ基礎のように処理に困ることもない。トータルで見たときにコスト削減になる場所で提案を強めていきたい」(田中室長)。
現状、受注は開始していないが、軟弱地盤やソーラーシェアリング等の引き合いがあるようだ。また、太陽光発電以外の軽微な機器や仮設構造物の基礎としての用途も含めて販売する考え。今夏を目標に発売する見通しである。