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ワイヤソー、ダイヤ式へ切り替え進む!?

ワイヤソー(シリコンインゴット切断装置)の需要が上向く可能性が出てきた。中国のウエハ生産が高水準で、ウエハメーカーがダイヤ式ワイヤソーの購入を検討し始めているという。スラリー式からの切り替えが進みそうだ。

180㎛厚の太陽電池用ウエハを、さらに薄く加工できれば、インゴットからウエハを多く取り出せる。生産性が向上するため、ウエハの薄板加工はかねてより求められてきた。だが主流のスラリー式には限界が見えてきている。

ウエハを薄く切り取るには、切り代を薄くしなければならないが、スラリー式はシリコンカーバイドの粉末を混ぜた液状の砥粒をワイヤに付着させて削りながら切る方式。径120㎛のワイヤに砥粒が付くため、切り代を140㎛より薄くすることが難しい。

これに対し、ダイヤモンドの刃のついたワイヤで切断するダイヤ式は、ワイヤの径が100㎛以下で、ダイヤを入れても切り代は120㎛以下に抑えられる。ネックは割高なランニングコストで、中国勢はこれまでスラリー式を採用してきたが、ここに来て、ダイヤ式の導入を検討し始めたようだ。

ワイヤソー世界最大手コマツNTCの宮田健章専務は、「今年3月頃から、ダイヤ式を数十台規模で購入したいという中国の大手メーカーからの引き合いが急に増えている」という。

コマツNTCはすでに100㎛厚のウエハを加工できるダイヤ式ワイヤソーを製品化している。同装置を導入すれば、「ウエハの厚みが半分になる。しかもダイヤ式の加工時間はスラリー式の半分だから、生産性は4倍に上がる。ランニングコストの上昇分を考慮しても、メリットがある」(宮田専務)。ダイヤ式ワイヤソーの技術が向上し、導入メリットが認知され始めているのかもしれない。

ワイヤソーの世界需要は2010年にピークを迎え、年間の出荷量は約3000台、市場規模は1800億円を超えていた。だが11年から太陽光需要が低迷すると、出荷量は年率半減で急落。12年には800台を下回り、13年から14年にかけては年間400台程度に落ち込んでいる模様だ。

ただ現在稼働しているスラリー式のワイヤソーは4500台にのぼるとみられる。これらが今後ダイヤ式に置き換われば、旺盛な需要が創出される可能性もある。

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