奥地建産、傾斜地用の新架台発売
工事請負でコスト低減へ
奥地建産(大阪府松原市、奥地誠社長)は5月下旬から傾斜地用の太陽光架台を売り出した。架台の据えつけに伴う設計や基礎工事も手掛け、総工費を抑えて提案力を強める狙いだ。
太陽光発電所の立地に適した平地が減少するなか、傾斜地を活用した発電所の建設ニーズが増えている。だが、勾配の急な斜面などに架台を取り付けるには、困難な作業が伴い、建設コストが割高になる。
そこで同社は、コストを抑えながら斜面に架台を設置するための実証試験を2013年よりNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)と実施、このほど製品化した。
今回の傾斜地用架台の特長は、大手鉄鋼メーカーと共同で開発した防錆加工の杭基礎を用いる点にある。地際部分の耐久性が向上し、杭芯ズレにも強く、最大で傾斜角40度の急斜面にモジュールを設置できる。
同社は部材の供給とともに設計や基礎工事まで請け負っており、傾斜角20度以内の斜面への取り付けであれば、部材費と基礎工事費、施工費を合わせてkW単価4万6000円(税別)で提供するという。
また同社は、今年4月に地上設置用の新型架台『サンキャッチャー・フィールドⅡ』を発売した。厚み1.6㎜の薄い鋼材を使用してコストを削減。架台のみでkWあたり1万3000円(税別)で販売している。
奥地誠社長は「新製品のコンセプトはコスト低減。架台・基礎の供給だけでなく、地盤調査や基礎工事、架台の取り付けまで当社で行って、総工費の低減に寄与する考えだ」と方針を述べる。
同社は15年3月期の太陽光関連事業の売上が前期比6%増の53億円だった。昨年から太陽光発電所の基礎工事に着手し、産業用部門の売上を伸ばした。
奥地社長は「買取り価格が27円に下がっても、事業者がIRR6%以上出せるように施工費を下げられれば、産業用はまだまだ伸びる」と語り、今期は10~50kWの低圧案件への展開を強め、太陽光関連で売上70億円を目標に掲げる。