日本気象協会、30分毎の日射量予測サービスを開始
一般財団法人日本気象協会(東京都豊島区、繩野克彦会長)は3月30日より、気象衛星データをもとに解析した雲の動きから30分毎の日射量を予測する新たなサービスを開始した。電力小売りの自由化に伴う電力取引の1時間前市場の創設を睨み、同サービスをPPS(新電力会社)へ提供していく考えだ。
同協会は、2014年7月から日射量に特化した気象予測の開発に力を入れてきた。従来は主に降水予測に利用していた気象モデルを、日射量予測のために改良。薄雲の状態がわかるようになり、以前と比べて精度が20%向上した。
同年10月には、各地の観測値と過去の予測値との統計的な関係を見出し、補正を加えて予測値を提供するサービスを開始。72時間先の日射量が見通せるようになった。同サービスはPPSの販売シェア上位10社のうち、過半数が利用しているという。
今回の新サービス『ソラサット・ナウキャスト』は、30分毎の日射量を6時間先まで予測する。例えば、午前9時に予測をすると、午後3時までの30分毎の日射量の予測値が時系列でわかる。30分毎に更新されるため、更新の度に予測誤差が少なくなるという。
環境・エネルギー事業部エネルギー事業課の前山徳久副課長は、「直近1~2時間の詳細な日射量を知りたいというニーズに応えた。ユーザーの要望に応じて太陽光発電設備の仕様に基づいた発電量予測も可能だ」とコメントしている。
課題もある。現在のサービスは初期値が午前9時からで、それ以前の日射量データは計測できない。前山副課長によると、「手法上、雲の動きを読むのに数時間前の画像を使う。例えば午前6時を初期値にするには午前4時からの画像データが必要だが、日が照らないので画像が入手できない。今後は改善し、早朝も出せるようにしたい」。
また、同サービスは気象衛星『ひまわり』の画像から日射を推定しているが、9時に撮影した画像を受信し予測値を配信するまでに現状約45分の時間を要する。この時間の短縮の必要性についても述べた。
同サービスの利用料金は、1スポット(1㎞×1㎞)あたり、初期設定費用10万円と月額7万円から提供する。基本メニューのほかに、水平面または斜面発電量予測のオプションもある。