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藤崎電機、通期売上高81億へ

前期比155%

(左)同社が所有する鹿児島の田崎発電所(右)同社製の接続箱

太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)を手掛ける藤崎電機(徳島県阿南市、藤崎耕治社長)が業績を伸ばしている。2014年9月期の連結決算が前期比155%の81.7億円に到達する見込みだ。大型案件の受注・完工に加え、36円低圧分割案件の受注が伸びたことが要因だ。

同社のこれまでの太陽光発電所向け施工実績は、住宅用を除き累計約68MW。EPCとして受注した案件や、電気工事のみの案件も含まれている。受注案件も多く、来期は売上114億円を目標としている。

同社は発電事業にも積極的で、100%子会社のガイアパワー(徳島県阿南市、藤崎耕治社長)が所有する案件も含め、これまでに約6.1MW、計4ヶ所のメガソーラーを稼働した。

また、施工や自社発電事業に加え、同社は接続箱の製販も手掛けている。材質に衝撃や対候性に優れるとされるポリカーボネイトを採用し、主に塩害や積雪地域向けに出荷している。

開発経緯について同社エンジニアリングカンパニープロダクト部の尾上泰啓部長は、「以前は塩害地域に対応した接続箱が少なかった。そこで、制御盤の製造を手掛けているということもあり、自社で作ろうという話になった」と語る。「初めは我々が施工を手掛ける発電所向けに使用していたが、1年ほど前から外販も行うようになった」という。

工場・プラント設備の電気工事などを手掛ける同社が太陽光事業に着手したのは今から15年ほど前。当時から太陽光事業に携わる、同社PVカンパニー四国営業部の島田剛部長は、「初めの頃は四国を中心に、住宅用や工場の屋根などに載せる太陽光設備の工事を手掛けていた」と語る。

その後、FIT(固定価格買取り制度)の導入をきっかけに同社の大規模発電所向けの受注が拡大する。現在は九州や四国を中心に、今後は関東や東北、中部、関西など各地で事業を展開していく計画だ。11年にはプロジェクト開発やファイナンスを含めた企画・設計、発電所運営を主事業とする子会社ガイアパワーを設立した。

電力会社の再エネ接続検討保留問題について、同社経営企画室の大東靖司室長は、「いつかこういう事態になるのではと思っていたが、想像以上に早かった。しかも、四国内では10kW未満の住宅用も保留になるかもしれないという噂もある」と話す。また、同社への影響について、尾上部長は、「受注残も多く、2年先までは見通せている。それに加えて、足切りされるのを恐れて事業者さんが早めの工事着工に動くかもしれない。見方次第では追い風とも取れる」とし、島田部長は、「投資対象として見ている人にすれば太陽光の魅力はなくなるかもしれないが、2年後には電力自由化などもあり、エネルギー市場はこれからも続いていくだろう」と見解を述べる。

今後はメンテナンス事業に着手したいと尾上部長。「施工して終わりでなく、その後のメンテナンスまで含めたトータルサポートをしていきたい。また、風力など他の再エネにも注力していく」。

左から、経営企画室の大東靖司室長、PVカンパニーの島田剛部長、エンジニアリングカンパニーの尾上泰啓部長

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