富士アイティ、遠隔監視サービスで売上4億円へ
富士電機子会社でシステム開発を手掛ける富士アイティ(東京都立川市、渡辺裕社長)が太陽光発電の遠隔監視システムで販売実績を伸ばしている。13年度は売上2億円を達成。今年度はO&M企業に拡販し、4億円の売上を目指す。
同社の監視システム『ソーラーコンシェルジュ』は、特高発電所向きのプラント型と、複数拠点を管理するクラウド型、そして2MW未満1拠点のターミナル型の3タイプがある。
2MW以上の大規模ソーラーにはプラント型を推奨し、受変電設備からPCS(パワーコンディショナ)までリアルタイムで監視する。14年度の受注は、30件320MWを見込んでおり、主にEPC(設計・調達・建設)を手掛ける親会社の富士電機に供給する。
2MW未満の複数拠点の監視に向くクラウド型は、各発電所の監視データをクラウドサーバに集約しパソコンから発電状況を確認する。異常を検知した場合には携帯電話へ通知する設定も可能。今年度の受注状況は113件190MWで、半数が関連会社からの受注だが、最近はO&M企業からの依頼が増加しているという。
「高圧・特高監視は30年近く実績がある。発電状況の監視だけでなく、キュービクルの監視や遮断機の制御も可能。財務の信頼性もあり、20年間の監視を任せて頂けている」と取締役兼第二ソリューション事業部長の竹村悦郎氏は話す。
同社監視システムの特長は、監視内容に劣化診断が備わっていること。その日の温度や日射量から発電量期待値を求め、実績値と期待値の乖離度を計算する。乖離度が閾値を超えた場合に異常と判断できる。
竹村氏は、「ただ発電量を見るだけでは故障は判断できない。我々のこだわりは日々変わる条件下で、定格出力に対してどの位発電しているかを確認できること」と述べる。
プラント型の導入費用は個別見積もりで対応する。クラウド型はオプションの選択内容によって異なるが初期費用は50~100万円程。使用料はPCS監視レベルで月額5000円、データ通信料は月額1000円以下である。
同社は、20年の売電期間に起こりうる様々な事例に対処するため、アセット管理システムも提供する。発電所で発生したトラブルや部品交換歴、将来の保全計画を記録するものだ。発電所の管理者が変わってもメンテナンス履歴や設備交換時期が一目瞭然で、特にクラウド型での展開を強める狙いだ。