日本最大メガソーラーで新技術 ストリング監視解析と巡視点検記録
日本最大のメガソーラーである大分ソーラーパワー。1年以上の工期と延べ6万6000人の工員を要したその大規模建設のなかで、新製品が生まれた。ストリング監視システムの解析ソフトと巡視点検記録ソフトだ。
大分ソーラーパワーは、大分県臨海工業地帯6号地に建設された出力82MWの大規模太陽光発電所だ。丸紅が100%出資の事業会社を通じ、昭和電工、日本触媒、丸紅エネックスの保有地105haを借りて発電事業を実施している。
建設工事は、日立製作所がフルターンキーで受注。地震や津波、液状化といった様々な自然災害リスクへの対策を講じている点が特長だ。2012年12月に草刈などの準備工事に着手、翌年3月には基礎工事に着工、14年3月12日に商業運転を開始した。
丸紅エネルギー関連事業部の藤本洋一部長代理は、「完工遅延に対するペナルティも設定されていたが、コンクリート基礎工事にスリップフォーム工法を採用するなどした結果、最終的に予定よりも50日も前倒しで運転を開始できた」と話す。
メガソーラーにはストリング監視システムを導入しており、ワイドミュラー製センサを用いて、2ストリング(パネル28枚)単位で遠隔監視している。「合計34万枚のパネルをどうストリング監視していくか。故障をどう見つけるか、方法論の確立が必要だと考え、日立さんにお願いした」(藤本部長代理)。
その結果、日立製作所中央研究所が独自の解析ソフトを開発。2.5%程度のストリング損失で、はんだ剥がれやセル劣化、断線といった故障原因まで検出できるものだという。実証も兼ねて、大分ソーラーパワーに導入し、「これまでにカラスの投石による破損を12枚、それとケーブルコネクタの破損を1回見つけ出した」(同)。
丸紅と日立製作所は、この解析ソフトを外販する予定だ。すでにワイドミュラー製ストリングセンサを設置済みの発電所であればすぐに導入できるという。
藤本部長代理は、「解析ソフトのみで、1MWで100万円程度。ワイドミュラー製を導入しているユーザーにとって、より高精度の監視をお届け出来る。それ以外のセンサは、チューニングなどが必要だが、対応していきたい」と話した。
もう一つ、生み出したのが、巡視点検記録ソフト。巡視点検の結果をスマートフォンで記録し、パソコンでデータ管理できるもの。大分ソーラーパワーでは、1アレイ42枚単位でバーコード管理しており、バーコード読み取りでの点検作業の記録・管理が簡単に行えるという。
丸紅は同ソフトのプラットフォームを外販しており、50万円で提供できるとしている。