丸紅、米ゼップソーラーと屋根架台で独販契約締結
住宅・小規模産業に拡販へ
丸紅(東京都千代田区、國分文也社長)は、6月2日付で米・屋根設置用架台大手のゼップソーラーと、日本市場における同社製架台の独占販売契約を締結した。住宅用や小規模産業用向けに拡販していく。
ゼップ社は2009年設立の屋根設置用架台メーカー。米国市場で展開し、13年の販売実績は約350MWだった。丸紅は昨年5月、日本市場におけるゼップ社製架台のマーケティング活動を開始、製品の品質や適応性などを検証していた。
電子材料部の西川泰造電子材料第一課長は、「モジュールメーカーや施工会社、ハウスメーカーなどにヒアリングしながらマーケティングを進めた。日本仕様に改良し、ユーザーにとっても良いものができていると判断した」とし、「契約期間は1年間だが、随時更新していくつもり」という。
ゼップ社の架台は、独自フレームを用いたゼップ専用モジュールを金具で屋根上に設置するもの。昨年12月に日本で特許を取得し、日本向けにはスレート屋根用、瓦屋根用、金属屋根用の3種類を揃える。取付け部は、それぞれ日本仕様で、例えば瓦屋根用は、若井産業製同質支持瓦とタイアップして開発した。
西川課長が「施工スピードの向上が一番の売り」と話す通り、日本での販促活動の一環としてスレートの模擬屋根での設置実験を行ったが、同条件で日本製の架台と比較した結果、半分以下の時間で施工できたという。
「1日当たりの施工件数を増やす、または施工人数を減らす効果が期待できる。部材も小さく、レールも不要で、運送費や在庫費用の削減にも繋がる」と強みを語る。
ただし、ゼップ社の架台を使用するには、独自フレームを用いた専用モジュールが必要。日系メーカーとも協議している模様だが、まずはゼップ専用モジュールを持つ外資系モジュールメーカーから採用が進むとみられる。
同社は、出力50kW未満の小規模産業用にも提案していく方針で、産業用向けには、対応モジュールとのセット供給も行う。
なお、同社は国内の産業用太陽光向けに海外製モジュールを供給している。昨年度は25年の〝丸紅保証〟を付与した韓・ハンファQセルズ製、価格競争力を持つ中・JAソーラー製を販売、納入実績は約150MWに及ぶという。小規模産業用向けにはオムロン製パワーコンディショナも販売し、さらには住宅用市場も視界に捉える。
西川課長は、「国内の住宅太陽光は重要なマーケット。中長期的にみると、市場は欧米型に移行していくはず。様々な機器を組み合わせてシステム化し、施工会社やハウスメーカーに販売していくSI(システムインテグレータ)が不可欠になるだろう。我々はSIを目指しており、ゼップ社との提携はその戦略の一環。今年より本格販売していくが、当社としては息の長いビジネスにしていきたい」と述べた。