パスポート、太陽光発電でまちづくりを
鹿児島から宮城、三重まで拡大
太陽光発電で疲弊した地域社会を甦らす。パネル販売、システムインテグレータを手がけるパスポート(神奈川県川崎市、濵田総一郎社長)を中心に、3万人都市、鹿児島県市木串木野市から始まった太陽光によるまちづくりが、宮城県登米市、三重県明和町へと拡大している。
16年度の稼動を目指す登米市プロジェクトは、市民オーナー発電所として4MWを建設、さらに地域分散型防災電源として、50kW未満の発電所を50ヶ所建設するというもの。
一方、4月末に調印した三重県明和町には2MWの発電所とともに、12ヶ所のアンダー50を建設する予定だ。いずれも、いちき串木野市で実証した「さつま自然エネルギー」のビジネスモデルが根底にある。
LLC、有限責任合同会社が事業主体となり、自治体や地元企業から出資と土地提供をしてもらう代わりに、12年間の間に地代として300万円を支払い、12年後には設備を無償譲渡する。地権者は残る8年間の買取り期間中、年間およそ200万円の売電収入を得ることができる。
「国民負担で成り立つ全量買取り制度だからこそ、大企業や電力大消費地がなるべく負担し、売電収入をまちづくりに活かす」(粟田省三常務)という一貫した想いから生まれた事業体だ。
その中心的役割を果たすのがパスポートであり、「さつま自然エネルギー」の取り組みは13年12月、新エネ大賞で経済産業大臣賞も受賞した。鹿児島から宮城、三重と拡がるなか、「太陽光発電を地域活性化の呼び水にするという取り組み」(粟田常務)は、自治体と防災協定を結び災害時の電力供給を担うかたちにまで発展、その役割を拡げつつある。