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パナソニック、「HIT」でシリコン系世界最高更新

セル効率25.6% 15年ぶりの快挙

パナソニック(大阪府門真市、津賀一宏社長)は4月10日、シリコン系太陽電池で世界最高となる変換効率25.6%のセルを開発した。独自の『HITセル』を改良して実現した。これまでシリコン系のセル変換効率の最高値は、1999年に豪・ニューサウスウェールズ大学が面積4㎠の研究用セルで打ち出した25%だった。今回は実用サイズでこの値を上回り、15年ぶりの記録更新となった。

今回の記録は、産業技術総合研究所が測定した。セル面積は143.7㎠で、現在パナソニックが量産している『HITセル』とほぼ同じ大きさだ。

同社は今回、セルの受光面の電極を裏側に配置するバックコンタクト技術を導入した。従来は電極をセル表面に設け、電極の設置面積を少なくすることで太陽光を多く取り込む方法だった。今回は表面電極をすべて裏面に配置することで、太陽光の損失をさらに抑える構造にした。

このため、従来表面電極側に位置していたP型アモルファスシリコン層を裏面へ配置し、P型とN型を交互に並べる方法を採用。現在市販されているHITの特長のひとつに両面発電があるが、バックコンタクトの採用により、表面のみでの発電となる。

また、今回のセルは、温度特性も優れているという。温度特性を表す温度係数は、太陽光パネルの表面温度が25℃時の出力を100%とし、温度が1度上昇した際の変換効率の低下率を示す。絶対値が小さい方が高温時の変換効率の低下が少ないとされている。

一般の結晶シリコン系セルの温度係数はマイナス0.4%~マイナス0.5%/℃とされており、従来の「HITセル」はマイナス0.29%/℃。これに対し、今回はマイナス0.25%/℃まで低下率を縮めている。

同社は量産時期について触れなかったが、ソーラービジネスユニット技術開発グループの岡本真吾グループマネージャーは、「研究開発の段階で変換効率が上がらなければ量産しても上がらない。最終的にはお客様に使って頂き、高い発電性能を享受してもらいたい」と意気込みを見せた。

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