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ラスコジャパン、地上設置用簡易基礎

13年度8.3MW設置

簡易基礎ソーラーファウンデーション

地上設置型簡易基礎を製造・施工するラスコジャパン(兵庫県三木市、島谷学社長)は、2014年3月期の同基礎の設置量が約8.3MWに達し、売上が前期比倍増の2億円となった。軟弱地盤や傾斜面の施工を得意としており、14年度は既に15MWの案件が進行中だ。

同社が扱う簡易基礎『ソーラーファウンデーション』は、地面に打ち込む4本のピンと、ピンをまとめる34㎏の鉄繊維補強コンクリート土台で構成されている。

コンクリート土台は正8面体に近い形状で、地上に出ている4面と、地中に埋まる4面それぞれに計8ヵ所の穴がある。ピンを刺すと土台の中で4本ピンがクロスし、地中に〝木の根〟のように広がり、地上の架台や太陽光パネルを支える。

「木道や橋梁の建設工法、ピンファウンデーションが由来。木はなぜ風が吹いても倒れないのか、という観点から生まれたアイデアだ。複数のパイプを、角度をつけて地中に埋め込み支持力を得る。これが発想の原点」と開発部課長の中塚正明氏は話す。

湿地や田んぼなどの軟弱地盤にはピンを長くして強度を維持する。地盤の種類や粘着力によってピンの長さを調整して支持力を保つ仕組み。コンクリート土台の設置はシャベルで土台の下半分を掘れば済む。重機による掘削は不要だ。ピンの打ち込みは電動ハンマーを使い、3人で施工できる。

「地盤や設計にもよるが、基本的に50kWで60個の基礎が必要。基礎の設置なら3日、パネルの取り付けも含めれば1週間で施工できる。地ならしや造成工事が不要なのでその分コストがかからない。ピンを抜けば原状復帰できるのもメリットのひとつだ」(中塚氏)。

同社は、公園内の木道やデッキ、河川や湿地の木製橋梁の建設が本業で、先のピンファウンデーション工法を採用していた。太陽光分野に参入したのは12年からである。

これについて中塚氏は、「弊社のピンファウンデーション工法を知る方から、太陽光発電の基礎に応用できないかと問い合わせを受けたのがきっかけ。太陽光業界の仲間入りをするとは思ってもみなかった」と振り返る。

13年、『ソーラーファウンデーション』の売上は全体の2割を占めた。今年度も15MWをほぼ受注済みで、売上は昨年度の2倍以上になると予想している。

「ありがたい話だが、施工が追いつかないのが実情。本業の公共事業も好調で、双方で人手不足となっている。建設場所は地方も多いので地元業者と協力して進めていきたい」と嬉しい悲鳴をあげる。

ソーラーファウンデーションを使用した発電所

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